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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 過熱する新NISA 2024.09.19
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今年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)が大きなブームを迎えています。今年3月末のNISA口座数は、2323万口座と、1年前と比べて24%、449万口座も増加しています。ブームは、ある意味で当然かもしれません。少子高齢化のなかで、今後、年金などの社会保障負担が高まる一方で、給付は減っていきます。さらに、実質賃金は2年以上下がり続けていて、真面目に貯蓄を重ねることで老後生活の準備をすることは、なかなか難しそうだからです。さらにこのままインフレが続けば、貯蓄は目減りしていきます。そうなると、いま持っている資金を「投資」で増やしていく以外に方法はないと考える国民が多くなっているのです。
ただ、気を付けておかなければいけないのは、NISA利用者が投資対象にしている株式や投資信託は、いま、とてつもないバブルを起こしているということです。例えば、アメリカ半導体大手のエヌビディアの株価は、今年6月18日に136ドルと過去最高値を記録し、同社の時価総額は3兆3400億ドル(527兆円)となりました。日本のGDPが592兆円ですから、エヌビディアの価値はたった一社で、日本のGDPの9割近くを占めています。いくらエヌビディアが有望企業でも、こんなことは異常です。
バブルは、暴落で終わりを迎えます。1929年のアメリカでは、その後株価は10分の1に下がりました。1990年の日本のバブル崩壊でも、日経平均株価は、5分の1以下に下がりました。投資にはそうしたリスクがつきものです。新NISAが悪いのではなく、投資は暴落のリスクを伴うことを肝に銘じておくべきなのです。
NISAへの投資は、競馬や宝くじと同じギャンブルだと理解すべきです。そのため、老後資金をNISAで運用するのはとても危険です。バブル崩壊の時期は予測できませんが、私は数年以内にやってくるとみています。