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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 暦年贈与制度改正 2024.02.15
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2024年から暦年贈与の制度が変わりました。これまで子供への贈与に関しては、毎年110万円までは、贈与税が課税されませんでした。ただし、親が亡くなり、相続が発生した場合には、過去3年に行われた暦年贈与の額は、相続財産に加算されることになっていました。これを「持ち戻し」と呼びます。2024年の税制改正で、この持ち戻しの期間が3年から7年に延長されることになったのです。せっかくコツコツと贈与を続けてきたのに、いざ相続となったときに7年分の努力が水の泡になってしまうのです。もちろん、持ち戻し期間が7年に延長されるのは、2024年からの暦年贈与分だけですが、それにしても、暦年贈与のメリットが大きく減ったことは間違いありません。
それではどうしたらよいのでしょうか。一つの方法は、贈与の相手先を子供から孫に移すことです。孫は、そもそも相続権を持っていないので、最初から持ち戻しの対象にならないのです。もちろん遺言などで、孫に相続権が発生する場合は、持ち戻しの対象になるので、注意が必要です。
もう一つの対処法は、相続時精算課税制度を利用することです。この制度は、贈与した金額を相続時にまとめて相続財産に加える方式で、節税メリットが小さく、これまであまり使われてきませんでした。しかし、今回の税制改正で、年間110万円の基礎控除が設けられました。この金額までは贈与税はかかりませんし、相続財産への加算もありません。ただし、相続時精算課税制度を利用するためには確定申告の時期に、税務署への届け出が必要になります。ただ、一度届け出をすれば、あとは毎年110万円までの贈与は、申告の必要もありません。注意点は2つあります。一つは、無税なのは、累積で2500万円までということと、一度相続時精算課税制度に登録すると、暦年贈与には戻れないということです。それでもメリットは大きいでしょう。