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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活

急増する入居権詐欺 2024.01.16
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カンボジアを拠点に活動していた特殊詐欺グループ25人が日本に強制送還され、航空機が日本領空に入ったところで逮捕されました。彼らがやっていたのが、高齢者を狙った入居権詐欺と呼ばれるものです。10年前に大流行した古い詐欺なのですが、国民生活センターによると22年度の相談件数が前年比9倍と、再び大流行が始まっています。

入居金詐欺の典型的な手口は、次のようなものです。まず大手証券会社の担当者などを名乗る人から電話がかかってきます。「老人ホームの入居権が当選しました」。「そんなもの申し込んでいません」。「それでは、欲しい人がたくさんいるので、権利を譲っていただけますか」。そこで「どうぞ」と答えて、いったん電話が終わります。すると、今度は弁護士を名乗る人から電話があり、「あなたは入居権の名義貸しをしましたね。それは犯罪です。逮捕を回避するには解決金が必要です」。そう言ってお金を振り込ませます。そうすることで、営々と貯めてきた老後資金を根こそぎ奪っていくのです。冷静に考えれば、おかしいことが分かると思います。そもそも申し込みをしていないのですから、老人ホームの入居契約は成立していません。存在しない契約に名義貸しが成立するはずがないからです。

それでも、多くの人が騙されてしまう原因は、素朴で、やさしい高齢者が多いからでしょう。また、証券会社や弁護士などの権威を信じ込み、彼らに脅されると、言われるままに動いてしまうのです。こうした被害を防ぐ最大の手段は、お金を振り込む前に誰かに相談することですが、それ以前に金融の知識がないことが大きな問題だと思います。学校教育には、お金の授業がありません。金融教育というと、すぐに投資の勉強をイメージしてしまいますが、私は、まず、騙されないための教育が必要だと考えています。金融の世界には、人をだまして稼ぐ人たちが、たくさん隠れているからです。

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