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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- どうなる介護負担 2023.10.05
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7月に厚生労働省の専門家部会が、高齢者の介護負担の見直しに関する議論を再開しました。介護保険については、3年ごとに制度を見直すことになっていて、今回の議論では、年内に結論を出して、来年度からの制度変更に結びつける方針です。
議論は、これからですが、すでにおおよその二つの方向性が打ち出されています。一つは、高齢者が負担する介護保険料です。現在、高齢者が負担する介護保険料は、全国平均で月額6014円とかなり大きな負担になっています。しかも、2040年には、それが1・5倍程度に増加する見通しになっています。そこで、今回の議論では、高齢者のうち高所得者の負担を引き上げる一方で、低所得者の負担を引き下げる方向で検討が始まっています。
もう一つは、介護サービスを受けた時の自己負担割合です。現在、介護サービスを利用した際の自己負担は、単身世帯の場合、年金収入+その他の合計所得が280万円未満は1割、280万円以上340万円未満は2割、340万円以上は3割となっています。今回の議論では、2割負担や3割負担の人の割合を増やすという方向性になっています。
まだ結論は出ていませんが、現在の方針通りに決まると、高齢期に所得を増やすことがますます不利になっていきます。所得を増やすと、介護保険料の負担も、介護保険サービスを受けた時の自己負担も、所得増を上回るペースで増えるからです。
公的年金の支給開始年齢を70歳にすると年金額は42%増えます。75歳からにすると、84%も増えます。老後も働き続ければ、その分収入が増えます。ただ、それは手取り収入がそのまま増えるのではなく、所得税や住民税、社会保険料、社会保障サービスを受けた時の自己負担など、さまざまな負担増に結びつくのです。そうしたことも考慮して、老後の家計を設計しないといけないのです。