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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 在職老齢年金制度は正しいのか 2023.03.03
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在職老齢年金制度をご存じでしょうか。これは厚生年金の受給者が、働き続ける場合、厚生年金の年金月額と月給(ボーナスを含む)の合計が47万円(4月から48万円)を超えると、超過額の半分が年金から減額されるというものです。例えば、厚生年金が月額12万円だとすると、月給が35万円を超えると年金の減額が始まり、59万円を超えると年金が給付されなくなります。
私はいま65歳なのですが、私の勤務先は定年年齢が70歳なので、そこまで働き続けることになります。そのため、この在職老齢年金制度によって、私はいま厚生年金が支給停止になっています。普通ですと、70歳支給開始の場合、繰り延べに伴って年金給付が42%増えることになるのですが、在職老齢年金で支給停止になった部分は、回復されないので、私は70歳から年金をもらい始めても、増額は一切ありません。ちょっと不公平な制度だなと思っていたのですが、70歳までフルタイムの仕事があるのだから、仕方がないのかなと考えていました。
ただ、大企業に勤める知人から話を聞いて、やはりおかしいのではないかと感じるようになりました。その大企業では65歳以降の働き方を、給与でもらう方式と個人事業主として委託報酬でもらう形を選べるというのです。もし個人事業主として契約すると、勤労者ではなくなるので、厚生年金加入の対象から外れます。すると、在職老齢年金が適用されないので厚生年金は満額支給されますし、70歳からの年金支給開始を選べば42%増の年金を受給できるというのです。
私は、個人事業主になれば、在職老齢年金制度の対象にならないこと自体は知っていたのですが、まさかすでに大企業で、そうした抜け道が活用されているとは、知りませんでした。ですから、もし65歳以上もフルタイムで働き続けようとする人は、この個人事業主契約を一度検討されることをお勧めします。