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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 引き算の美学 2022.12.14
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私が出演している「がっちりマンデー!」という番組では、何回も「一芸家電」を採り上げています。総合家電メーカーが販売する家電製品は、色々な機能がついているのですが、大部分の人は、その機能をすべて使うわけではないので、用途を必要なものに絞って安い価格で販売する家電が流行っているからです。最近の収録で感心したのは、「ミライスピーカー」でした。テレビに接続して、話声がよく聞こえるようにしたスピーカーです。耳が遠くなる高齢者にとって、原音に忠実な音を聞くことよりも、言葉が聞き取れることの方が重要なため、音質を捨てて、聞きやすさに特化したスピーカーです。
実は一芸家電の必要性を痛感したことがありました。近くに住む義理の母が、電子レンジの操作を誤って、温めようとしたパンを煙が出るまで焦がしてしまったのです。いま我が家では、温める機能だけがついている電子レンジに買い替えを検討しています。
がっちりマンデーの収録後に加藤浩次さんと雑談をした際、加藤さんが「日本人は引き算の美学を忘れているのではないか」という話をしていました。茶道の世界に代表されるように、日本人はずっと不要なものを省いていくことで、本当の機能美を享受してきました。それは、私たちのライフスタイルにも言えるのではないでしょうか。
余計なことにお金を使いすぎるから、その費用を賄うために、やりたくもない仕事をしたり、危険な投資に手を出してしまうのではないでしょうか。
人間は食べて、眠ることができれば、十分生きていけます。それには、さほど大きなコストはかかりません。「食べられれば十分だ」という割り切りができれば、不安や無理から解放されます。老後の資金が足りないと焦る前に、ライフスタイルのなかから必要のないものを引き算して、シンプルライフを実現することが重要ではないでしょうか。