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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第45回】認知症を防ぐには 2016.01.01
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テレビの情報番組に出演していて思うのは、最近、認知症を採り上げるケースが非常に多くなっているということです。しかも、同じ番組で何度も認知症のことを採り上げるのです。テレビ局は、1分ごとの視聴率を細かく把握しているので、そうしたことが起きるのは、認知症を採り上げると視聴率が上がる、つまり国民の関心が高いということです。
確かに認知症になると家族に大きな負担がかかりますし、本人にとっても人生を十分に楽しめなくなってしまいますから、関心が高いのもうなずけます。また、厚生労働省が15年1月に発表した予測では、2025年には認知症患者の数が700万人を超えるそうです。高齢者のうち、5人に1人が認知症になる計算です。つまり、認知症はけっして他人ごとではないのです。
それでは認知症を防ぐためには、どうしたらよいのでしょうか。医師がほぼ共通して指摘するポイントが2つあります。一つは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を防ぐことです。糖尿病患者の場合は、アルツハイマー型の認知症になるリスクが約5倍になるそうです。ですから、食生活の改善が重要で、腹八分目を心がけることです。また、亜麻仁油やえごま油を摂ることも予防に役立つと言われています。
もう一つは、とにかく脳を動かすことだそうです。特に効果的なトレーニングは、同時に二つのことを行うことだそうです。例えば、右手と左手で違う動きをする体操などがよいそうです。また料理もいくつかの作業を同時並行で行うことになるので、脳のトレーニングに役立つということです。
昔は「ながら族」はよくないと言われましたし、私自身もひとつのことを集中してやるほうが得意なのですが、こと認知症予防に関する限り、積極的に「ながら族」になったほうが、よいようなのです。とりあえず私は、短時間で仕上げる料理に取り組んでいます。
■ PROFILE
森永卓郎 1957年東京生まれ。経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。コレクションを展示する博物館(B宝館)を新所沢に2014年10月に開館!