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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第43回】マイナンバーカードは慎重な取り扱いを 2015.10.30
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10月からマイナンバー制度が始まりました。すでに12ケタの個人番号を通知する書類が届いていると思います。マイナンバーは、かつて国民総背番号と呼ばれたもので、一度付与された番号は、原則として、一生変わることがありません。当面は、源泉徴収の際にマイナンバーの記入が必要になったり、公的年金のさまざまな申請のときに必要になったり、災害の際の安否確認などに使われます。
また、今回通知された番号とは別に、個人の申請に基づいて、マイナンバーカードが発行されます。マイナンバーカードの見た目は、写真付きクレジットカードのようなもので、ICチップが内蔵されています。このマイナンバーカードを使うと、例えば全国のコンビニで住民票が受け取れるようになるなど、行政手続きが簡単にできるようになるほか、スポーツクラブやレンタルビデオ店などで、身分証明書としても使用できるといったメリットがあります。
主婦や高齢者などで、運転免許証を持っていない人にとっては、マイナンバーカードは、無料で手に入る写真付きの公的身分証明書として活用できると政府は主張しています。
ただ、私は安易にマイナンバーカードを持ち歩かないほうがよいと思います。持ち歩くと、紛失したり、マイナンバーを横から覗かれて、マイナンバーを他人に知られてしまう危険があるからです。万が一、マイナンバーの情報が漏れて、それが運悪く悪質な名簿業者に渡ってしまうと、その番号を基準として、様々な個人情報を付加されて、生活状況が丸裸にされてしまいます。もちろんそれは違法行為なのですが、違法行為を平気でやるのが、悪質業者なのです。
すでに著名人は、家族構成から所有する車の車種まで網羅する名簿が作られています。それと同じようなことが、庶民に対しても行われる可能性があるので、マイナンバーは公的機関以外には知らせないようにしましょう。■ PROFILE
森永卓郎 1957年東京生まれ。経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。コレクションを展示する博物館(B宝館)を新所沢に2014年10月に開館!