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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第42回】毎月分配型投信にご用心 2015.10.18
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最近、株式相場が乱高下を繰り返しています。そうしたなかで、中高年層に人気を集めているのが、毎月分配型の投資信託です。例えば、退職金が手に入ったときに、それを毎月分配型の投資信託で運用すると、まるで年金収入のように一定額が毎月分配金として入ってくるので、元本を温存しながら、生涯安定した収入が得られる。そう思い込んでいる人が意外にたくさんいます。
しかし、世の中にそんな甘いことはありません。毎月分配型とはいっても、普通の投資信託と同じように集めた資金を株式などで運用します。運用成績がよければ、一定額の分配金を支払い続けることができるのですが、運用がうまく行かなければ、分配金の額が引き下げられてしまいます。
また、分配金の額が変わっていなくても、運用成績が悪い場合は、元本を取り崩すような形で、タコ足配当が行われることも、しばしばあります。その場合は、自分が投資している投資信託の基準価格が下がっていきますので、基準価格は常にチェックしておく必要があります。さらに、いまの分配金をあと何か月続けられるのかという「分配余裕月数」も、見ておく必要があるでしょう。この数字が公表されている場合もありますが、もし記載がなくても、運用報告書をみれば、簡単に計算ができます。「当期分配金+翌期繰越分配金対象額」を「当期分配金」で割ったのが、分配余裕月数になるのです。この数字が小さい場合は、注意が必要になります。
いずれにせよ、毎月分配型の投資信託で、ずっと同じ分配金が保証されるということは、ないのです。どうしても、死ぬまで一定の収入が欲しいという場合には、生命保険会社が出している終身年金に加入しましょう。これだと、生命保険会社がつぶれない限り、定額の年金がもらえます。ただし、本人が死亡した場合には、一円も残らないので、注意が必要です。■ PROFILE
森永卓郎 1957年東京生まれ。経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。コレクションを展示する博物館(B宝館)を新所沢に2014年10月に開館!