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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第41回】 日本版CCRC(コンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ)の可能性は? 2015.09.30
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政府の「まち・ひと・しごと創生会議」が日本版CCRCに関する議論を行っています。CCRCというのは、コンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティの略で、定年後も継続的にケアが受けられる共同体のことです。特に日本版のCCRCは、「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指しています。
なんだか、先日日本創生会議が発表した大都市の高齢者の地方移住を促進する構想と似ていますが、日本版CCRCは、まだ検討段階ということもあって、もう少し柔軟です。
私は、日本創生会議の提言する大都市住民の地方都市への移住は、少し無理があると思うのですが、日本版CCRCの構想には、必ずしも地方都市だけではなく、大都市郊外に新しいコミュニティを作ることも含まれているのです。例えば、大都市郊外のニュータウンです。高度成長期に作られたニュータウンは、若者たちが便利な都心部に移ってしまったため、深刻な高齢化に見舞われています。空室も目立つようになり、資産価値の下落や防犯上の問題も指摘されています。また、郊外はもう一つの負の遺産があります。それが、都心に回帰してしまった大学です。まだ、あまり表面化していませんが、放っておくと、これも廃墟になる可能性があります。
私は、空き住戸を地域の交流や介護などの場として活用すればよいと思います。また、大学は、地域で暮らすサラリーマンやリタイア層が利用する生涯学習の場にしていけばよいのです。郊外は、もともと自然環境に恵まれ、物価も安いため、暮らしやすい地域です。そこが、医療や介護が充実していて、生涯学習もできるとなれば、若い人も戻ってくるのではないでしょうか。
■ PROFILE
森永卓郎 1957年東京生まれ。経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。コレクションを展示する博物館(B宝館)を新所沢に2014年10月に開館!