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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第38回】実は超高利回りの確定拠出年金 2015.05.25
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確定拠出年金の制度が、早ければ2017年から拡充されます。確定拠出年金というのは2001年にスタートした企業年金の一種で、日本版401kとも呼ばれています。毎月一定額を積み立てて、退職時に一括して受け取ったり、年金として受け取ることができます。確定拠出年金の最大の特徴は、掛け金が所得控除の対象となるということです。そのため、例えば所得税と住民税の合計で税率が30%の人が確定拠出年金に加入すると、掛け金の30%分の税金が戻ってくることになります。つまり利回りが、金利プラス30%の超高利回り商品になるのです。もちろん年金を受け取るときには税金がかかりますが、一括で受け取るときには退職金扱いになりますから、税金は非常に少ないか、ゼロになりますし、年金の形で受け取るときには、公的年金等控除が適用されるので、これも税金を低く抑えることができます。
これまで確定拠出年金の個人型に加入できるのは、自営業者や無職の人、勤め先に企業年金がない会社員だけだったのですが、新たに勤め先に企業年金がある会社員や夫が会社員の主婦、そして公務員も加入できることになります。つまり、誰でも個人型の確定拠出年金に加入できることになるのです。確定拠出年金は、企業年金に加入できない中小企業の社員や自営業者を救済する制度だったのですが、個人型の加入者が18万人にとどまっていることから、対象を拡大するのだとみられます。現在、加入が進んでいない大きな理由は、所得控除を受けるために確定申告が必要なことや、運用をする金融機関を自ら選ばなければならないなど、手続きが煩雑なためです。ただ、なかなか有利な資金運用先がみつからない金融環境のなかで、超高利回りの魅力は大きいと思われます。手続きが大変なのは、主に加入のときだけなので、とりあえず、確定拠出年金の内容をよく確認して、挑戦してみてはいかがでしょうか。
■ PROFILE森永卓郎 1957年東京生まれ。経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。コレクションを展示する博物館(B宝館)を新所沢に2014年10月に開館!