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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第28回】太陽光発電という選択肢 2014.07.28
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公的年金制度への信頼が揺らぐなかで、太陽光発電が注目を集めています。家庭用の太陽光発電は、自家で使用して余った電力を電力会社に売却するのですが、10キロワット以上の発電能力を持つ太陽光発電を設置した場合は、電力会社が全量を固定価格で20年間にわたって買い取ってくれます。現在の買取価格は、消費者が支払う電気代より単価が高いので、全量を売ったほうが有利になります。
とは言っても、全量買取になる発電をするためには、大きなスペースが必要になりますし、都市部では建物の陰になって十分発電ができない場合もあります。そこで、土地の用意や発電設備の設置、保守管理までをパッケージにした商品を売り出す会社が、次々に出てきています。ごく大雑把に言うと、一口1、000万円以上の投資で、10年あまりで投資金額を回収し、その後はずっと利益になるという仕組みです。もちろん、このビジネスにはリスクがあります。太陽光パネルやパワーコンディショナーが故障したり、台風、水害、地震などで装置が破壊される可能性もあります。さらに、新しい業界なので、業者も玉石混淆で、工事代金を支払ったのに、まったく工事を進めないまま、経営破たんしてしまったという事例さえあります。
ただ、20年にわたって固定価格で電力を買ってもらえるというのは、安定した所得が必要となる老後生活にとって、大きなメリットになることは間違いありません。もちろん、老後資金を1つの商品にまとめて投資するのは、とても危険なので、太陽光発電は、ある程度資金に余裕がある人に適した投資方法であると言えるでしょう。もうひとつ太陽光発電には、楽しみがあります。それは太陽光パネルの寿命は20年と言われているのですが、実際にはさらに長持ちするケースもあるということです。太陽光パネルの長寿を祈って付き合いを続ける。ちょっと素敵な関係だと思いませんか。
■森永卓郎
1957年東京生まれ。 経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。