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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第21回】所費税増税に備え、家計をリストラしよう 2013.12.22
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2014年度の家計は相当厳しくなりそうです。まず、4月から消費税率が3%上がります。この増税の影響で、来年度の消費者物価は2・5%上昇します。また、日銀は2年間で消費者物価上昇率を2%へと誘導するための金融緩和を行っています。金融緩和による物価上昇目標は、消費税増税に伴う物価上昇とは別枠だと日銀は明言しています。そのため、来年度は金融緩和に伴う物価上昇が1・5%見込まれます。これらを合わせると来年度の物価上昇率は4%に及ぶ見込みです。2015年度も、消費税率の引き上げと金融緩和で、物価は3・5%上昇すると見込まれます。2年間で8%近く物価が上昇するのです。
物価が上がっても、その分収入が増えれば問題ないのですが、そう上手くはいきません。賃金統計をみると、サラリーマンの給料は前年比で横ばいですし、年金給付は、10月から1%引き下げられたほか、来年4月からさらに1%、再来年0・5%引き下げられることになっています。 こうした事態に私たちが対抗する手段は、節約しかありません。それも一時的な節約ではなく、長続きする節約を考えないといけないのです。節約の目処は、家計の1割削減です。そのためには、何か思いきった家計のリストラが必要になります。例えば、家賃の安い郊外に移り住むとか、生命保険を見直すとか、外食をやめるといったことです。家計のリストラは、何をやるのかによって、生活がガラっと変わりますから、やり方を慎重に考えないといけません。 もうひとつ考えないといけないことは、資産をいかに守るのかということです。物価が8%上がるということは、その分、預金が目減りするということです。投資で大儲けする必要はありませんが、苦労して貯めたお金をみすみす減らしてはいけません。ただ投資にリスクはつきものなので、資産運用をどうするか、頭の痛い日々が続きそうです。
■森永卓郎
1957年東京生まれ。 経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。