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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【第18回】医療費の節約を考える 2013.10.04
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年齢を重ねていくと、体のあちこちに不具合が生じてきます。それは誰でも避けることのできません。当然、医療機関のお世話になる機会も増えていきます。 統計でもそれは明らかで、昨年の『家計調査』によると、世帯主が29歳以下の世帯の月間保健医療費が4005円であるのに対して、65歳以上では1万2791円と、3倍以上になっています。高齢になると、急性疾患というより、生活習慣病などの慢性的な疾患に悩まされるようになるからです。 かく言う私も、現在糖尿病の治療のために毎月一度通院をしています。現在のところ服薬とGLP─1受容体作動薬を皮下注射しているだけなので、さほど手はかかりません。ただ、医療費の面では、毎月1万円以上の治療費がかかっています。正直言うと、現時点では家計を脅かすような支払いではないのですが、年金生活に入ったら、結構厳しい負担になると思います。生活習慣病の場合、すんなり治癒するということがないので、病気も治療費も長い付き合いになるからです。
治療費を下げる一番よい方法は、ジェネリック医薬品を使うことです。ジェネリック医薬品というのは、有効主成分の特許が切れた医薬品を別の医薬品メーカーが作るものです。成分や薬の形状など、完全に同じものを作るわけではないので、効能が同じとは限りませんが、ほぼ同じ薬効を示すとされています。 実際、日本ではまだ2割程度しか普及していませんが、米国ではジェネリック医薬品が7割ものシェアを持っています。 問題は、すべての病気にジェネリック医薬品がないということです。私が治療している糖尿病の治療薬にも、ジェネリック医薬品は存在しません。ただ、その場合でも、どのような治療薬を使うのかによって、コストは異なってきます。大切なことは、お医者さんに正直に家計の事情を話して、コストを下げてもらうことだと思います。
■森永卓郎
1957年東京生まれ。 経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。