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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活
- 【15回】住宅購入はまだ間に合う? 2013.06.19
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昨年11月に安倍政権の誕生が確実になってから、たった半年で株価は7割以上高くなりました。大胆な金融緩和で、デフレ脱却が視野に入ってきたからです。いまから思えば、半年前に株式投資をしておけば、いまごろ大儲けだったのですが、底値を拾うというのは、現実にはむずかしいものです。私自身も、この連載で半年前に「株式投資の練習を始めましょう」と書いただけで、思い切った株式投資を勧めることはできませんでした。
ただ、株価は急上昇しましたが、不動産価格は、一部の例外を除いて、まだ上がっていません。不動産価格の上昇は、株価の上昇から1年ほどタイムラグがあるからです。
例えば、バブル期をみてみましょう。86年3月の株価は前年比で26・0%も上がりましたが、6大都市の住宅地は9・6%しか上がっていません。翌87年に株価が36・0%上がり、ここで初めて6大都市の住宅地も27・0%と大幅な上昇になりました。
株価のバブルは90年初めに弾け、90年3月の株価は前年比8・7%も下がったのですが、6大都市の住宅地は33・1%も上がり続けています。ここまで極端ではないないとは思いますが、6大都市に終の棲家を持とうと考えている人は、今後地価上昇が見込まれるため、急いだ方がよさそうです。9月までに契約すれば、引き渡しが来年4月以降になっても、消費税は5%のままです。一方、6大都市以外の住宅地は、バブル期でも、あまり上がっていません。例えば87年3月の前年比上昇率は3・6%に過ぎないのです。ですから、地方に家を持とうという人は、あせる必要はないでしょう。
もう一つ、重要なのはローン金利です。今後デフレ脱却に向かうと、まず固定金利、少しタイムラグを置いて変動金利が上がります。金利は上がり始めると早いので。家計に余裕のない人は、割高でも固定金利を選んでおくことをお勧めします。
■森永卓郎
1957年東京生まれ。 経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。