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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活

【第12回】相続に備えよう 2013.06.10
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【森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活】一覧はこちら

再来年から、相続税の増税が始まります。最高税率が現在の50%から55%へと引き上げられますが、庶民にとってより深刻なのは、基礎控除の引き下げです。現在は、一回の相続で5000万円と法定相続人1人あたり1000万円の基礎控除額がありますが、それが4割削減されるのです。例えば、相続人が2人の場合、現在は7000万円控除があるのに対して、再来年からは4200万円になります。現在は、相続件数のうち、相続税を支払っているのは24人に1人に過ぎませんが、控除の引き下げにともなって、都市部では4割程度が相続税を支払わなければならなくなるという説もあります。都市部に住宅がある場合、預貯金と合わせると、4000万円程度になってしまう場合が多いからです。 

ただ、私は相続税のことを心配しなくてはいけない人はもっと多いと考えています。相続税は、相続財産が基礎控除額以下であれば、申告の必要がありませんが、相続財産が控除額に近い人は、控除額に収まるかどうかチェックしないと脱税になってしまうからです。実は、これが大変な作業なのです。

私は一昨年に父を亡くしましたが、父はいくら資産を持っているのかはおろか、どこに通帳を置いているかさえも言わずに亡くなってしまいました。通帳がみつからなかったので、銀行口座を探すところから始めたのですが、これが実に大変な作業でした。銀行は、支店名まで指定しないと口座があるかどうか調べてくれないからです。ですから、残された家族のことを思うのであれば、最低限どこにどんな資産があるのかというリストは作っておくべきです。私も自分のものを早速作りました。そのときに、気を付けておかないといけないのは、預貯金だけでなく、生命保険や証券、その他金銭的価値のあるものは全て書き出しておくことです。特に書画骨董の類は、放っておくと、遺品整理のときにまとめて捨てられてしまう可能性があるのです。

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■森永卓郎

 1957年東京生まれ。 経済アナリスト。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。


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