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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活

【第6回】”トカイナカ暮らし“のススメ 2012.10.12
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■憧れの田舎暮らし 馴染めず都会に出戻りも 

 

 引退したら、大自然のなかで田舎暮らしをしたいと言うサラリーマンがたくさんいます。かく言う私も、かつては沖縄の自然のなかで暮らしたいと思っていました。しかし、田舎は人間関係が濃密で、しきたりも厳しいので、都会育ちの人が地域に溶け込むのは、相当むずかしいのです。実際、私の知人で田舎暮らしに挑戦した人が何人もいますが、半分くらいの人が都会に戻っています。田舎の人間関係になじめなかったからです。
 そこで、私が都会育ちの人たちにお勧めしているのが、都会と田舎の中間、トカイナカでの暮らしです。大都市中心部から数十キロから百キロ程度離れれば、豊かな自然を楽しむことができます。また、それくらいの距離であれば、いつでも都心に出掛けることができるのです。田舎と都会のいいとこ取りです。通勤は少し大変ですが、定年になれば、その厳しさからも解放されます。そして何より、地域の人間関係が田舎ほど濃密ではないので、人間関係で失敗する心配がありません。

 

■自然暮らしも楽しめ、物価も安いトカイナカ 

 

 私は埼玉県所沢市に四半世紀以上住んでいます。平日は都心の事務所で寝泊まりすることも多いのですが、週末に所沢に帰るたびに、気分が爽快になります。鳥のさえずり、きれいな空気、おいしい水。少し郊外に行くだけで、自然環境は大きく変わるのです。
 トカイナカに住むことのもう一つのメリットは、物価がとても安いということです。都心は家賃や人件費が高いので、物価が高くなりますし、田舎の方は、人口が少なく、商店の売上規模が小さいために物価が高くなりがちです。ロードサイドの大規模店が建ち並ぶトカイナカの物価が、実は一番安いのです。
 これから公的年金の支給削減が見込まれるなかで、物価が安いということは、大きなメリットになります。さらにトカイナカは、住宅価格も安いので、移住のコストも、さほどかかりません。だから私はトカイナカこそ、終の棲家の王道だと思うのです。


 

 

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■森永卓郎
1957年東京生まれ。 経済アナリスト。
東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。多数の著書を手掛け、最近は「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。

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