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森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活

【第3回】豊かな老後のために家は買った方がよい 2012.08.31
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■給付額減で持ち家と賃貸の生活費は2倍の差に
 
 持ち家がいいか賃貸がいいかという問題は、終わることのない論争のタネになっている。私は、老後を迎える前に家を買っておいたほうがよいと考えている。それは、持ち家の方が確実に老後を豊かに暮らせるからだ。
 例えば、いまの厚生年金のモデル年金は、夫婦二人で23万円になっている。もしローンの終わった持ち家があるのなら、この23万円は丸々生活費に使える。ところが、賃貸に住んでいると、例えば8万円の家賃を支払った後の15万円で生活しないといけない。私はシンクタンクの研究員時代に高齢者の生活実態調査に携わったことがあるのだが、家賃の支払いがあるかどうかは、決定的とも言えるほど大きな生活格差をもたらしていた。
 しかも、その格差は拡大していく。今後年金給付は現状の3分の2程度に減額されていく可能性が高い。つまり、現在23万円のモデル年金は15万円に減るのだ。ということは、8万円の家賃を支払うと、残る生活費は7万円になる。家賃がなければ15万円、家賃があれば7万円。生活費が2倍以上違ってしまうのだ。
 
■デフレの今は住宅価格が急落、1千万円以下も
 
 もちろん、老後まで住宅ローンを背負ってしまったら、家賃を払っているのと同じになる。ただ、幸か不幸か、いまはデフレで住宅価格がとても安い。首都圏でも、郊外の駅からバス便利用の中古マンションであれば、1千万円を切るようなところが、いくらでもある。夫が現役時代には長時間通勤がきついかもしれないが、引退後であれば、それほど電車に乗る機会はなくなるから、バス便利用でもさほど不便はないだろう。
 また、都心を離れた方が、空気もきれいだし、緑も多いし、レジャー施設には近いし、大型ディスカウント店もたくさんあって、物価も安い。そうした郊外のメリットも考慮しながら、どこに終の棲家を定めればよいのか、少なくともそれだけは、早めに決めておいた方がよいだろう。
 

【森永卓郎さんのちょっと賢い年金生活】一覧はこちら

 

■森永卓郎
1957年東京生まれ。 経済アナリスト。
東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、民間シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授に。
多数の著書を手掛け、最近は「年金は60歳からもらえ」(光文社)を監修。
ペットボトルの蓋などB級グッズコレクターでもある。


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