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聖マリアンナ医科大学病院 スーパー医師による医療情報

少子高齢化時代の小児医療 子どもたちの代弁者でありたい 小児科 清水直樹先生 2024.07.03
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小児科 清水直樹先生

 少子高齢化といわれて既に長い時代変遷のなか、逆説的ではありますが、小児科医の役割は益々増してきております。国家の将来を支える子どもたちの身体的健康だけではなく、心理的健康と社会的健全性をも保障することが、小児科医の使命です。複雑性が指数関数的に増加している現代において、これは医療だけで達成することが益々困難となりつつあり、福祉・教育など多岐にわたる専門家の方々と一丸となり、子ども中心に対峙してゆくことが欠かせません。

 2019年に当学にお世話になるまで私は、都内複数の小児病院を中心に小児救急・集中治療を専門として医療に従事してきましたが、当学着任後は上記視点でひろく小児医療を担当することとなりました。この5年間に、自身の専門である小児集中治療専用病床(8床)を設置し、川口敦教授はじめ専門チームを招聘・育成し、川崎市だけでなく神奈川県をひろく含めた広域で、重篤小児患者の診療品質を改善してきました。これに加え、こどものこころセンターを古茶大樹神経精神科学主任教授の御指導のもと小野和哉教授とともに設置し、昨今急増している発達障害やこどもの心の診療に、小児科としても積極的に協力してゆく体制を整え始めました。さらに、今年度からは新たに在宅移行医療支援センターを宮本雄策小児科学教授をセンター長として設置し、小児外科・総合診療内科・救急科をはじめとした診療各科・各部署との連携のもと、医療的ケア児の総合的な診療体制や災害対策、在宅移行に向けた地域医療・福祉・教育との連携体制、小児医療から成人医療の「移行期」にさしかかった方々の診療体制確立にむけた支援など、いままさに深く欠落している医療のクレパスを埋めるよう、大学・法人として真摯に向き合ってきております。

 日本小児科学会も、こうした小児医療の構造変化を勘案し、「Biopsychosocial」な小児診療を目指すことを強く推奨しています。また、小児科医は子どもたちの「Advocator(社会的弱者の代弁者)」であるべしとも言われて久しいです。言うは易しですが、当学・法人としてはこれをまさに実践しているものと自負しているところです。聖マリアンナ医科大学は、小児医療におけるこうした実践のみならず、成人医療・老人医療もふくめ、患者・家族のみなさまに寄り添った代弁者として社会に訴求してゆくとともに、今後も改善を重ねて参りたいと思いますので、引き続き御支援とご期待をお寄せ頂ければと思います。

■取材協力

聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県川崎市宮前区菅生2‐16‐1)

☎044‐977‐8111㈹


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