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星になった男 2025.01.20
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 〈光満ちわがたまつゐに融くる時、われも世を照らす星とならむか〉。日露戦争以降、母国の破局回避行動を生涯続けた福島県二本松市出身で米国在住の歴史学者・朝河貫一(1873~1948)が遺した長唄の一節である。死後は世界を照らす星になる。朝河の思いは昨年10月に実現、小惑星に「Asakawa」と命名された。
 国際天文学連合が認定した正式名称は「29159Asakawa」。直径約5・5㌔の惑星で、太陽を3・7年周期でまわっている。星となった朝河は、旧二本松藩士の長男。東京専門学校(後の早稲田大学)を主席で卒業し渡米、イェール大学で歴史学教授を務めるなど生涯を米国で過ごした。
 ただ、朝河の一生は日清、日露戦争や第1次世界大戦、満州事変、日中戦争、第2次世界大戦と重なった。日露戦争では日本の正義を米英に説いたものの、大国ロシアに勝利し傲慢になった日本人を憂える著書『日本の禍機』を1909年に出版、アジア膨張外交を続ければ必ず国際社会で孤立し、国家存亡の危機を迎えることになると警告した。
 日本軍部を批判する多くの書簡などで日米開戦に最後まで反対し続けた朝河。開戦直前には、その阻止のために昭和天皇への米大統領親書草案を書いたり、在外憂国者として天皇制度と民主主義の共存という日本の戦後構想も提言した。
 〝共存の英知〟。母国が犯した戦争の時代に朝河が一貫して発していた歴史学者の知見だが、星になった朝河は今の時代に何を語ってくれるのだろうか。宇宙的視座に立脚した地球平和論。新たな年だけに、そんな気もしている。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)


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