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一期一筆
- 人類益重視の時代 2024.09.17
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他人の不幸の上に自分の幸福を築いていくという生き方は、仏法にはない。説かれているのは自他共の幸福である。国際世論も〈国益〉優先から〈人類益〉をも重視する外交を期待する時代となった。今真っ只中の立憲民主党代表選と自由民主党総裁選、それに公明党代表選。人類益重視を柱とした我が国の平和外交戦略などを拝聴したいと思っているのだが…。
気候変動による異常気象の頻発や生物多様性の喪失、感染症の拡大、1万2000発の核弾頭…。世界は今、人類の生存を左右する地球規模の深刻な脅威に直面している。世界的な食糧不足や貧困、1億2000万人とも言われる難民問題、地域紛争などは各国の政治体制を揺らし、政策にも影響を及ぼす時代となった。
時代が今求めているのは、軍事力、政治力、経済力といったパワーではなく、人道的な競争力。非軍事による国際協力に徹し、国際社会から厚い信頼を得てきた日本への期待は大きい。世界の繁栄に寄与する日本の具体的な未来戦略を聞きたい。〈人道支援大国ジャパン〉。これは個人的な見解だが、我が国は世界の人道先導国家を目指す時だと思う。
憲法を見れば、その国の姿がわかると言う。代表選や総裁選に臨んでいる候補者は、個々の憲法改正私案を公表し、〝政治家の本心と覚悟〟も述べてほしい。
また、秩序なき進化を続ける生成AI(人工知能)の活用策など我が国が描くデジタル社会のシナリオも具体的な形で示してもらいたい。とにかく人類益重視の思想を自身の政策に落とし込むだけでも、政治家の世の中の見え方が大きく変わるはずである。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)