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一期一筆
- 戦争犯罪の逮捕状 2024.07.17
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戦争犯罪は誰であろうと免責されない!〝見えない威圧〟に臆することなく国際刑事裁判所は昨年3月、侵略したウクライナから多くの子どもを連れ去った疑いで国連常任理事国ロシアのプーチン大統領に逮捕状を発付、戦争犯罪容疑者の烙印を押した。身柄拘束は至難だが、法の正義に則って全世界に個人の戦争責任を明示した同裁判所の英断を高く評価したいと思う。
同裁判所は、2002年にオランダ・ハーグに設立された常設の国際刑事法廷。訴追し、処罰するのは、ジェノサイド(大量虐殺)や人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪を犯した個人。逮捕状は容疑者死亡まで失効せず、最高刑は例外的に終身刑があるものの原則禁錮30年としている。
管轄権を行使できるのは、日本など124か国の同裁判所規定締約国に限られており、非締約国の米国や中国、ロシア、ウクライナなどには及ばない。ただ、ウクライナが管轄権を受諾したことで先月末までにプーチン大統領ら6人に逮捕状が発付された。今後は締約国内にプーチン大統領らが足を踏み入れた場合、各締約国が逮捕、身柄を同裁判所に引き渡すことになる。
わが国は、同裁判所負担金の最大拠出国。今年3月には3年の任期だが、プーチン大統領への逮捕状発付でロシアから指名手配された赤根智子同裁判所判事が新たな所長に選出された。
平和国家を標榜し、法の支配と人間の尊厳を掲げる日本。法の正義による平和構築を世界に宣言し、同裁判所締約国の拡大を主導、武力に抗する法の一大平和勢力の結集を本気で目指してほしい。外務省のパワーに期待したい。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)