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芸能人インタビュー
- 舞台は役者としての蓄積と栄養をくれる場所。辛くても忙しくても立ち続けたい 2024.03.19
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かつてない独創的な世界観で話題となったカナダの小説『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』。“妻が縮む”や“母親が分裂する”など舞台化不可能とも言える本作が4月、日本青年館ホールで世界初演を迎えます。出演される谷原章介さんにお話を伺いました。
妻が縮む⁉ 様々な暗喩が散りばめられたファンタジー作品
「作品のテーマってよく言うじゃないですか。それってすごくもどかしいと言いますか、観た方がいろいろ考えて感じていただければ良くて、正解みたいなものは要らないのかなって思います。あれば安心はするけれど、分かりやすい正解がもし用意されているのであれば、まあ別に観に行かなくてもね(笑)。僕自身の解はありますよ。ただ、観た方の数だけ自分なりの解釈と正解が得られるような作品が良い作品なのだと僕は思います。特に今回の舞台は比喩や暗喩に富んだお話しなので、ご自身の経験や抱えている問題によってさまざまな解釈が生まれるのではと思っています」
ある日、銀行にやってきた風変りな強盗に魂の51%を奪われた13人の被害者達。その日から彼らの身に不思議な出来事が起こり始める。ある者は母親が98人に分裂し、ある者は足首のタトゥーからライオンが抜け出した。そしてステイシーは自分が少しずつ縮んでいることに気づき、8日後には消えてしまうことを知る――。
谷原さんが演じるのは縮みゆくステイシーの夫。家や子どものことで妻とはすれ違いが続いており、彼女が縮み始めた時も『気のせいだ』と笑い、真剣に取り合いません。
「基本的には夫婦のディスコミュニケーションの話だと思っていて、奥さんが縮んだというのはあくまでも比喩だと思っているんです。彼女は物語の至る所で『本当にあなたは話を聞いてくれない』と言っていますが、そうやって相手から軽んじられたり理解されていないと、人ってそこに居ないような気持ちになるじゃないですか。そういう比喩なのかなと。夫の無理解や、知ろうとしない姿勢が奥さんを縮ませてしまったんじゃないかと思うんです。
この夫婦は結婚7年目で、子どもはまだ2歳。仕事も頑張らなきゃいけないし、大変な時ですよね。そんな中、家に入った奥さんにはキャリアが断絶する辛さや、自活できないことへの忸怩たる思いがある。誰もが自分で働いて、自分の力で食べてるって胸を張って言いたいけれど、家庭に入ると『食べさせてくれてありがとう』。でも対等なはずなのに、食べさせてくれてありがとうって何なのって。そういう、まだまだお互い夫婦としての折り合いがついていない状況の二人ですね。
僕も結婚して17年経ってお互い折り合いをつけたとは言え、考え方って結構違いますから、改めて家の中で接し方を考えなければいけないなという気にさせられています」自分の軸は役者。年に一度は舞台に立ちたい
ここ数年、ほぼ毎年舞台への出演を続ける谷原さん。朝の情報番組で司会を務め、忙しさに拍車がかかった今でも、舞台の仕事だけはセーブしたくないと話します。
「映像の仕事って瞬発力が求められて、一回撮影したら二度とできないから消化不良になる時があるんです。かと言って、そうならないためにリハーサルをやる時間があるかと言ったら、そうでもない。しかも瞬間的にエネルギーを出すので非常に疲れる作業でもあるんです。それが舞台だったら稽古で何十回、何百回と同じセリフを繰り返すことができるし、本番でも毎日挑戦できる。そして日々、発見し続けることができる。それは自分の中に役者としての蓄積や栄養をくれる作業なんですね。確かに稽古は辛いです。でも自分の軸は役者だと考えた時、せめて年に一度はやりたい。僕にとって舞台はそういう存在です」■プロフィール
俳優/谷原章介
1972年神奈川県出身。1992年~94年までファッション雑誌『メンズノンノ』の専属モデルを務める。95年に映画『花より男子』でヒロインの相手役に抜擢され俳優デビュー。以降、NHK大河ドラマ『風林火山』や映画『ハンサム★スーツ』など数々の作品に出演。俳優業のほか、『めざまし8』や『パネルクイズ アタック25』の司会者としても知られている。
■インフォメーション
「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」
原作/アンドリュー・カウフマン
脚本・演出/G2
出演/花總まり 谷原章介 ほか
会場/日本青年館ホール
日程/4月1日(月)~14日(日)
料金(全席指定・税込)/S席:11,800円 A席:9,800円
【お問合せダイヤル】0570-084-617(11:00~16:30)
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