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芸能人インタビュー

もっと一生懸命になれることを探す日々。僕にはまだ行きついていない場所があるはず 2023.11.20
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映画・ドラマ・舞台など各方面に引っ張りだこの実力派俳優・田山 涼成さん。先月末に別の舞台の公演を終えたばかりですが、12月には草彅剛さん主演の舞台『シラの恋文』への出演も決まっています。共演者や奥様とのエピソードについてお話を伺いました。

仲間からの刺激と愛妻弁当が活力

『まだ出来るんじゃない⁉』

 「今年72になりまして、これだけハードですと家に帰ってぐたっと来るのですが、不思議ですねえ、お客様を目の当たりにすると変なスイッチがあるんです。若い頃は歳と共に渋い俳優さんになりたいなんて思っていましたが、今は逆で、何と言いますかオーバーというか、言葉は悪いけど馬鹿になるというか…。劇団時代に戻ったような芝居がまだできるんじゃないの⁉ という気持ちです。ただ、ジャンプはもう無理です(笑)」
 齢70を超え、ますます意気軒昂な田山さん。さまざまな作品や共演者たちとの出会いが良い刺激となり、それが俳優としてのエネルギーにも繋がっているようです。また、自他共に認める愛妻家の田山さんにとって、奥様の存在も日々の励みになっています。
 「今日も朝起きてお弁当を作ってもらって持ってきています。たまに僕が外に食べに行こうよ、作るの大変でしょって言うと、家でいいんじゃないのって。そういう人。貧乏時代は彼女が外で働いて、僕は家で家事。二層式の洗濯機が回っているのを見ながら俺はどうなるんだろう…なんて思ったりしていました(笑)。収入が安定してからは絶対にやらないでと言われているので、台所にも入りません。今日みたいなお弁当のある日は特にダメ。お弁当は広げたときが楽しみだから見ないでちょうだいと。ただ、洗い物は今もやります。やめてと言われるんですけど、彼女の手が荒れて見ていられないので…。なんか女房自慢しちゃったようで恥ずかしいですけど(笑)」
 そんな田山さんの次なる出演作が、1月7日から日本青年館ホールで上演される『シラの恋文』。草彅剛さん演じる鐘谷志羅が訪れた海辺のサナトリウムを舞台に、さまざまな事情を抱えた人々との交流を描いた北村想氏のオリジナル戯曲です。同作品には、田山さんと同じ劇団夢の遊眠社出身の段田安則さんも出演。お二人の舞台共演は実に20年ぶりだそうです。
 「めちゃくちゃ久しぶりですよ。劇団では僕が先輩なのですが、彼が入ってきたとき僕が30ですからもう42年くらいの付き合い。稽古中はお互い老けちゃったねって話でもちきりです。でも僕らお酒を飲まなかったし、まして遊眠社の場合はつるんで飲みに行くのは禁止でしたから、42年間でこんなに段田と喋ったのは初めてかもしれません。それと当時は肉体訓練が激しくて、膝に水が溜まるとか、そこまでやるかという所までやっていたので、何かを語り合う余裕もなかったのでしょう。それでも向いている方向は一緒だったと思うし、野田秀樹さんの脚本をやることが、ただひたすらに楽しかったんですよね」
 その後、CM出演を足掛かりとして徐々に活躍の場を広げ、ドラマ『白い巨塔』出演により、広く顔を知られるように。現在はバラエティ番組などでも才能を発揮し、すっかり人気者となった田山さんですが、仕事に対する向上心は忘れたことがありません。
 「座右の銘は一生懸命。これがなくなったらダメだと思うんですよね。身体的にもうできないかもと思うこともありますが、もっと一生懸命になれることはないかと探している感じもあって。欲深いのか、向上心があるのか分かりませんが、まだ行きついていない所があるような気がするんです。今回の芝居も若い俳優さんがいらっしゃいますが、その方たちと稽古していると『そんな芝居するんだ! じゃあこっちも!』みたいに張り合ってしまう(笑)。別に一生懸命やらなくても、おじいさんなのだからゆっくり喋って、それなりの芝居をすればいいとも思うのですが…。ただ、一生懸命という言葉を背負ってやることで、自分はこれからも俳優として生きていける。そんな気もしています」

 

■プロフィール

俳優/田山 涼成

1951年愛知県出身。文学座研究所を経て1979年に野田秀樹氏主宰の劇団「夢の遊眠社」に入団。以降、舞台・ドラマ・映画と精力的に活動。今年だけでも映画『仕掛人・藤枝梅安』、舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男-』『最高のオバハン 中島ハルコ~ナイルの涙~』、ドラマ『女子高生、僧になる』『きのう何食べた? season2』など数多くの作品に出演。

 

■インフォメーション

「シラの恋文」

作/北村 想 

演出/寺十 吾 

出演/草彅剛 大原櫻子 段田安則 工藤阿須加 田山涼成 ほか 

会場/日本青年館ホール 

日程/2024年1月7日(日)~28日(日) 

料金(全席指定・税込)/S席:11,000円 A席:8,000円 ほか 

※12月に京都、福岡でも上演

【問】シス・カンパニー 03-5423-5906(平日11:00~19:00)

 


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