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芸能人インタビュー
- 人生は二毛作! 老後は第二の 収穫期の始まり。好奇心旺盛な人ほど認知症になりにくい 2022.07.19
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2025年に約700万人への増加が見込まれる認知症。「年を取れば誰でも認知症になる可能性がありますが、初期段階なら生活を見直すことで半数が回復します。もの忘れが増えたら、いち早く手を打つことが肝心」と話す鎌田實先生に「認知症対策」についてお聞きしました。
認知症の一因となる慢性炎症。対策の鍵は「野菜」と「運動」
「老化だけでなく、運動不足や肥満、高血圧、社会的な孤立は認知症の原因。誰もが身に覚えがあるものです」
74歳の鎌田先生が日頃の食事術や運動などを紹介した『鎌田實医師が実践する認知症にならない29の習慣』は話題の一冊。なかでも、加齢と共に増える慢性炎症対策を重視しています。
「老化を促すとされる慢性炎症は、認知症リスクを高めることも分かってきました。さらに高血圧や糖尿病、脳卒中を招くのですが、これらの病も認知症を招く一因だからです」
慢性炎症は高血糖などが原因と言われます。日頃から血糖値を上げない生活が基本です。
「そのためには、食物繊維が豊富な野菜を摂ることが第一です。また、野菜に含まれるβカロテンやリコピンなどの抗酸化成分は慢性炎症を抑えるほか、脳の神経細胞を保護し、認知機能の低下を妨げる作用があります」
野菜の摂取目標は「1日350g」。食が細くなった年代はどうしたらよいでしょうか。
「味噌汁にするとカサが減るので野菜をたっぷり摂れます。味噌にも抗酸化作用があり、野菜との相性はバッチリ。この『具だくさん味噌汁』は長野で脳卒中を減らすため役立ちました。
具材は残り物の野菜で構いませんが、かぼちゃやブロッコリーなどの緑黄色野菜、繊維の多い海藻やきのこ、根菜類がおすすめです」
もうひとつの慢性炎症対策が運動。血糖値上昇を防ぐ有酸素運動に加え、筋力アップの運動を推奨しています。
「筋肉が動くときに分泌するマイオカインは、認知症、がん、脳卒中などのリスクを下げるほか、血糖値を下げメタボを改善します。そこで考案したのが『鎌田式ワイドスクワット』(写真参照)。脚力を維持しないと外出機会が減り、寝たきりの可能性が高まります」
新型コロナウイルスにより今も続く慣れない生活。「運動不足と血液の循環悪化」「慢性炎症」、虚弱を意味する「フレイル(筋肉の衰え、他人との接点減少、口腔機能低下)」に陥るなど、今後、認知症人口の急増することを危惧。さらにコロナ禍の日常には落とし穴があると言います。
「自粛に伴うイライラです。ストレスが募ると血管に負担がかかり、心筋梗塞、脳梗塞などを招きます。ストレスを抑えるための不思議な言葉があります。怒りがこみ上げたら『パタカラ…』と唱えてください。ばからしいですよね(笑)。だけど、それがいい。怒りのホルモンは6秒でピークが過ぎるので、呟いている内に怒りを静めます。それにパ行(ハ行)は頬、タ行は舌、カ行はノド、ラ行は口全体を鍛え、認知症を招く口腔フレイル予防につながります。同じ行なら言葉は何でもよく、僕はムッとしたら『バカタレ…』と呟きます。相手の前だと喧嘩になるので要注意です(笑)」90歳になってもジャズやスキーを楽しみたいと話す鎌田先生。老後の過ごし方についてお聞きしました。
「健康で長生きするには、いい生活習慣を見つけることが大切です。面白い人生を送りたいなら、その生活習慣を崩してでも好きなことに挑んでください。一見、反対のことを言っていますが、これが人生を輝かせる秘訣です。
人生は二毛作。第一の収穫期は会社のために定年まで働いたり、子育てに励んだ時期。それが終われば、本当に自分のやりたいことに取り組む第二の収穫期の始まり。芸術や読書など、何でも構いません。好奇心旺盛な人ほど認知症になりにくいです。
僕はイラクの難民キャンプに行ったり、ウクライナの子どもたちへ支援を続けたい。人の役に立とうとすると、高血圧リスクが減るという報告があります。親切は巡りめぐって自分の役に立つ。みなさんも自分のため、そして少しだけ他人のために時間を使い、老後を健やかなものにしてください」■プロフィール
医師/鎌田 實
1948年生まれ。東京都出身。1974年、東京医科歯科大学医学部卒業。1988年に諏訪中央病院長(2005年より名誉院長)。日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネット代表。2006年読売国際協力賞、2011年日本放送協会放送文化賞を受賞。『がんばらない』『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)などベストセラー多数。撮影:木村順子
■インフォメーション
<書籍>
図解 鎌田医師が実践している
認知症にならない29の習慣
<主な内容>●認知症は生活習慣で防げる ●脳を元気に、若々しく保つ食べ方 ●鎌田式 ウォーキングと筋トレで、脳をイキイキ ●意識と習慣を変えれば、毎日が「脳トレ」になる
■価格1,408円(税込)
■朝日出版社
■書店等で発売中