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芸能人インタビュー
- たくさんの痛みが芝居へと 昇華される。人生経験のすべてが今に繋がっているのですね 2022.01.17
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映画や舞台など多方面で活躍する高畑淳子さん。抜群の演技力と圧倒的な存在感を放ち、演じた役が度々話題になることも。そんな高畑さんが出演する舞台『冬のライオン』が2月26日に開幕。作品に対するイメージなどを伺いました。
若いころ苦しんだ自らの多面性が今は役者としての財産
あでやかな美貌を持ちながら、親しみやすい人柄と自然体な姿が魅力の高畑淳子さん。気風のよい養護教諭から虚栄に満ちた教授夫人、謎の中国人社長まで、どんな役でも呑み込んでハマり役にしてしまう演技派女優ですが、意外にも下積みが長く、20代の頃はカエルやヘビなど人間以外の役ばかり演じていました。
「人間の役も時々来るんですよ。その頃は顔も綺麗でしたから(笑)。でも、ことごとく不評だったんです。実際、上手じゃないし。一方で動物の役は割と評判が良くて。特にカエル役で出演した舞台『ブンナよ、木からおりてこい』はすごく当たって、それで全国も回ったんです。カエルの芝居? と思われるかもしれませんが、それから何度も再演されていて、青年座の劇団員はみんなカエルから始まって、人間になっていくと言っても良いくらい(笑)。私の場合は、動物の方が上手くなっちゃったんですが…」
現在の高畑さんからは信じられないエピソードですが、人間の役も上手くなったのは何故かと素朴な疑問をぶつけると「痛い目にいっぱい遭ったからでしょうね」とぽつり。
「離婚したこととか、ひとりでお母さんになったこととか…。役者っていうのは痛い目に遭えば遭うほど芝居が上手くなっていくんですよね。悲しいかな。でも、そういう経験も含めて、色んな要素を自分の中に持っておくことが役者としての財産になるんですよね。若い頃は、お人好しな所とか、強情な所、嫉妬深い所、色んな要素が自分の中にあり過ぎて苦しく感じたこともありましたが、お芝居を続けていると気づくんです。どうやら人間には、それだけ沢山の面があっても良いし、役者としてはそれが武器になるらしいぞと」権謀術数渦巻く王族たちの実話『冬のライオン』
さまざまな人生経験が演技に深みを与え、数多くの作品で存在感を示す大女優となった高畑さん。そんな高畑さんですら「想像もつかない世界」と話されるのが2月26日に開幕する舞台『冬のライオン』です。12世紀の初代イングランド王家を舞台に、相続争いで揺れる王族たちの愛と憎しみ、そして欲望を描いた重厚かつ濃密な人間ドラマ。意外にも喜劇的な要素もある作品で、ブロードウェイで1966年に初演以降、繰り返し上演されてきた愛憎劇の傑作です。高畑さんは、国王ヘンリーに対して一歩も引かず渡り合う、誇り高き王妃エレノアを演じます。
「ササっと読める台本ではなかったですね。私たちの考える家族ではないので、関係性が分からないんですよ。だってヘンリーには今も愛人がいて、その愛人はエレノアが人質として育てた子で、そのエレノアにもいっぱい男がいるとか。スゴイ話(笑)。それでもやっぱり夫婦の情はあるし、子を想う気持ちもあるんでしょうけど、価値観みたいなものがまだ掴めていないですね。なので、今は『エレノアの伝記を買おうかなぁ。その前にセリフ覚えなきゃなぁ。ドラマの撮影もあるしなぁ。』とか色々考えているところです(笑)。
でも、長く愛されてきた作品にはそれだけの力がありますし、人間っていうのは良い所も、そうじゃない所も抱えながら生きていく生物なのだということがよく分かるお話だと思います。今日一日は中世ヨーロッパへの旅行だと思って、ぜひ劇場にお越しください。我々俳優がガイド役となって、皆さんを見たこともない世界にお連れいたします!■プロフィール
女優/高畑 淳子
1954年香川県出身。76年、劇団青年座に入団。舞台、映画、ドラマと幅広く活躍し、昨年だけでも『喜劇 老後の資金がありません』、『お終活』、『IP~サイバー捜査班』などさまざまな作品に出演。読売演劇大賞最優秀女優賞など受賞歴多数。
ヘアメイク/山口久勝 スタイリスト/森 美幸 衣装/MARINA RINALDI〈ジャケット ¥118,800 スカート ¥96,800 インナー ¥63,800(すべて税込)〉
■インフォメーション
「冬のライオン」
作/ジェームズ・ゴールドマン
翻訳/小田島雄志
演出/森 新太郎
出演/佐々木蔵之介/葵わかな 加藤和樹 水田航生永島敬三 浅利陽介/高畑淳子
会場/東京芸術劇場 プレイハウス
日程/2月26日(土)~3月15日(火)
料金(全席指定・税込)/S:9,500円 A:7,500円ほか
【問】東京芸術劇場 ボックスオフィス
0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)