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芸能人インタビュー
- 監督やスタッフと共に作品をつくり上げる喜び。あれこれ考える時間もまた楽しい! 2021.06.30
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“浪速のロッキー”として名を馳せたボクサーから俳優に転身後、人間味あふれる演技で多くの人を惹きつけてきた赤井英和さん。7月10日より公開の最新主演作『ねばぎば 新世界』では、義理人情に厚い男を熱量たっぷりに演じられています。
新世界を舞台に描く痛快アクションドラマ『ねばぎば 新世界』
「お茶とお水、どっちにします?」その日最後の取材にもかかわらず、疲れた顔を見せず相手への気遣いを忘れない赤井英和さん。その飾らない人柄と持ち前の明るさで、映画・ドラマ・舞台とどんなことにも真っ直ぐ全力で向き合ってこられました。ときにはバラエティ番組で過酷な海外ロケに挑戦することも。
「もういろんな経験させてもらいました。アラスカでスノーモービル乗ってシロクマ探しに行ったり、サハラ砂漠で気温60度の中ずーっとおったり、アマゾン川でピラニアと一緒に泳いだり…。カメラ止まったら『あーもう!』なんてなってましたけど(笑)」
それでもカメラが回れば暑さも寒さも忘れてしまうと言うのだから、ボクサーから芸能界への転身は必然だったのかもしれません。そんな赤井さんが主演を務めた映画『ねばぎば 新世界』が7月10日に公開を迎えます。
舞台は大阪・新世界。若かりし頃、弟分のコオロギと共にヤクザの組を潰して回っていた勝吉だったが、今は自身のボクシングジムを畳み、幼馴染が経営する串カツ屋で働いていた。ある日勝吉は悪徳宗教団体から逃げてきた少年・武と出会い、団体本部に乗り込むことになるのだが、そこにはかつて世話になった恩師の娘の姿が! 2人を救い出すために、勝吉とコオロギが再びコンビで立ち上がる!
勝新太郎と田宮二郎の大ヒットシリーズ『悪名』を彷彿とさせる昭和懐古の痛快エンターテインメント。撮影は赤井さんの原点とも言える大阪・新世界で行われ、作中には赤井さんと所縁の深い場所や人も登場しています。
「勝吉の家のシーン、あれ飛田新地の実家なんですわ。元々遊郭やった店を父親が買って、キッチンやら風呂やら作って住む家にしたものなんですが、隣も二階も遊郭で商売やっているようなところにポツンと普通の民家があるので、おもろいから使いましょとなったんです」
さらに、勝吉が働く串カツ店「だるま」も赤井さんが学生時代から通う実在の店。店長役は「だるま」の会長であり、赤井さんの後輩でもある上山勝也さんが演じられました。
「だるまで撮影する話が出たときに、会長を出演させてはどうかと監督に発案させてもらいました。演技のアドバイスですか? うーん……元々しゃくれあごの奴やから、女の子をボーっと阿保みたいに見てるシーンは『もっとあごを前にだしや』とか(笑)。で、私はそれを見て『なに阿保みたいな顔しとんねん』というセリフだったんですが、監督に相談して『なにオランウータンみたいな顔しとんねん』に変えさせてもろたりして。あと、商店街で勝吉とヤクザが対峙するシーンで後ろの方におった奴も私の大学の後輩で役者ちゃうんです。いつも私が大阪帰ったら『運転は僕がやりますんで』と言って色んなとこ付き合ってくれて、撮影現場にも来てくれてたんですけど、監督に『乱闘の最後、残ったあいつがビビッて逃げるというのにしまへんか?』言うたら『ああ、それはよろしいな』ということで急遽前日に決まって。それで逃げ出すシーンを撮ることになったんですが、あいつテストで3回も4回も走って疲れててリアルにズドーンとずっこけてもうた。演技じゃなくて本当に必死(笑)。その辺りも楽しんでいただければと思います」
撮影中の出来事を楽しそうに振り返る赤井さんですが、そうやって監督やスタッフとコミュニケーションを取りながら作品をつくり上げることが役者の醍醐味のひとつだと仰います。
「役者の仕事は台本の活字に気持ちを込めるのは当然のこと、こうした方が見る人により伝わるんじゃないかとか、物語の流れを見て、ここはこう撮っておいた方が良いんじゃないかとか、私の中ですることがいっぱいあるんです。もちろん監督が全部の責任者で、俯瞰から見て作ってくださるのやけど、我々映っている側としてもそれをやっていくことが大切やと思いますし、それが役者の面白さでもあると思いますね」■プロフィール
俳優/赤井英和
1959年大阪府出身。高校1年でボクシングを始め、近畿大学在学中にプロへ転向。12連続KOという日本記録を樹立し“浪速のロッキー”の愛称で人気を博した。引退後は芸能界へ進出。自伝をもとに制作された映画『どついたるねん』では主演を務め、以降ドラマや舞台、CM、バラエティなど多方面で活躍している。本作でWICA外国映画部門の最優秀主演男優賞を受賞した。
■インフォメーション
「ねばぎば 新世界」
7月10日(土)より新宿K's cinema
ほか全国順次公開
■出演/赤井英和 上西雄大 田中要次 菅田俊 有森也実 小沢仁志 西岡德馬
■監督・脚本・プロデューサー/上西雄大
©YUDAI UENISHI