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芸能人インタビュー
- わたしの生き様が滲むこの皺を カッコいいと思ってもらえる女優でありたい 2020.07.20
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「燃えろいい女」のフレーズが記憶に残るCMで鮮烈なデビューを果たした小野みゆきさん。人々を魅了した力強い眼差しと美しさは今も変わりません。今回は最新出演作『クシナ』(7月24日公開)での役どころや、母として女優としての想いをお聞きしました。
自然体で演じることができた、美と威厳を併せ持つ母の役
赤いオープンカーで海辺を颯爽と走り、キリっとした目でこちらを見つめる〝いい女〟。1979年、資生堂のCMで強烈なインパクトを与えた女優・小野みゆきさんが、15年ぶりに映画に出演します。
「子育てに専念するため仕事をセーブしていました。なにしろ男の子で手がかかるものですから、仕事の性質上、安易にオファーを受けることはできませんでしたし、子どもとの時間を大切にしたかった。『クシナ』のお話を頂いたときは私で良いのかとも思いましたが、映画は作品を選ぶなという先輩役者の言葉がずっと胸に残っていることもあって、ありがたくお受けすることにしました」
人里離れた山奥にある村。そこは俗世では生きにくい女たちが身を寄せ合って暮らす秘密の共同体。何日かに一度、村長の鬼熊(オニクマ)が山を下り、村の作物を売って生活物資を調達してくることで娘の鹿宮(カグウ)ら女たちの生活を守っていた。ある日、何度も山に入っては村を探し回っていた人類学者・蒼子とその助手・恵太が、ついに村へとたどり着く。外界から突如やってきた〝異分子〟は女たちに予期せぬ変化をもたらすのだが―。
永遠と思われた時間が崩れ去るとき母娘はどんな決断を下すのか。渦巻く愛憎や葛藤を繊細な映像美で描きます。小野さんが演じたのは美と威厳、そして母性を兼ね備えた村長・鬼熊。「鬼熊はこの人しかいない!」と監督から熱烈オファーを受けて出演が決まりました。
「だいたい私に仕事をくれる方は、ぴったりだと仰ったり、当て書きしてこられることが多いんです。役者冥利につきる話なんですが、そういう時には殺し屋とか特殊な役が多くて(笑)。今回の鬼熊も特殊な環境にいる人物ではありますが、その実やっていることは普通のことだと思うんです。自分たちで働いて、収穫して、足りないものだけ調達して生きる、これだけです。生きる環境こそ違えど、その生き方は私と重なる部分も多い。なので役にはスッと入れました。
なにより、自分より子どもという鬼熊の気持ちは同じ母としてすごく共感できます。私も息子を守るために食事やおやつは手作りしていましたし、川遊びするときは、何かあったらすぐ飛び込めるよう水着のまま仁王立ち(笑)。日焼けなんて構ってられません。こんな感じの母親だったからこそ、特に気負うこともなく自然に演じることができたのだと思います」60歳にもなれば生き方が顔に出る。人生が刻まれた皺を見て!『クシナ』で小野さんはメイク無しでの出演に初挑戦しています。その顔には年齢を重ねたことによる隈や皺が刻まれていますが、むしろそこを見てほしいのだと小野さんは言います。
「もちろん必要以上に日光を浴びないとか、日焼け止めを必ず塗るとか基本的なことはずっとやってきました。それは私たちの仕事の一つですから。でもそれ以外は自然に歳を取っていけばいいと思いますね。それに人間50歳、60歳にもなれば、それまでの生き方が顔に出てくると思うんです。皺の一本一本ですら私の生き方の表れ。だから無理に隠そうとはしません。その皺がカッコいい、美しいと思ってもらえたら嬉しいですね。皺を見ろ!」
母として、女優として。生きてきたすべてを纏い輝く小野さんの姿をぜひスクリーンでご確認ください。■プロフィール
女優/小野 みゆき
1959年静岡県出身。1979年、資生堂サマーキャンペーン「ナツコの夏」でデビュー。その後『トラック野郎 熱風5000キロ』『戦国自衛隊』『あぶない刑事』などの話題作に出演し、1989年には『ブラック・レイン』でハリウッド進出。2005年の映画出演以降は子育てに専念するため女優業を一時休業していたが、今作にて活動を再開。
■インフォメーション
「クシナ」
7月24(金)よりアップリンク渋谷 ほか
全国ロードショー■出演 郁美カデール 廣田朋菜稲本弥生 小沼傑 小野みゆき
■監督・脚本・編集・衣装・美術 速水萌巴
■配給・宣伝 アルミード