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芸能人インタビュー
- 繊細な響き、音の減衰、美しい余韻…。ギターの音色で異国の旅へお連れします 2019.10.21
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15歳のC Dデビューから昨年25周年を迎え、ますます輝きを放つギタリストの村治佳織さん。笑顔で語る村治さんの佇まいからは凛とした中に柔らかい優しさも感じられます。そんな村治さんに12月に開催するリサイタルについてお話をうかがいました。
言葉を使わずに情景を伝える
音楽の力のすごさメロディと伴奏を同時に奏でるクラシックギター。複雑な指の動きから紡がれる多彩で豊かな音色が魅力です。村治佳織さんはコンサートやテレビ出演など幅広い活動で、10代の頃からクラシックギターの奥深い世界を広めてきました。昨年はC Dデビュー25周年を迎え、映画音楽をテーマにした新アルバムを発表。アルバム『シネマ』では、『ティファニーで朝食を』『ニュー・シネマ・パラダイス』『第三の男』をはじめとした映画音楽の名曲を楽しめます。 「映像に寄り添うように流れる映画音楽には、メロディで包み込む優しさを感じます。今年の12月に開催するリサイタルでは、本作の収録曲からも多くお聴かせする予定です」 12月21日、サントリーホールで開催する村治さんのリサイタル。『映画』と、もうひとつ大きなテーマを決めました。 「サントリーホールは歴史ある素晴らしい舞台。この会場にふさわしい雄大な曲を演奏したいと思った時、『旅』というキーワードが浮かびました。イタリアのギター奏者、ドメニコーニがトルコに滞在して書いた『コユンババ』や、戦争によってアメリカへ亡命したイタリアの作曲家、テデスコが遠い故郷の想いを綴った『ボッケリーニ』など、旅からインスピレーションされた音楽にはステキなものがたくさんあります。例えば『コユンババ』は民族的で幻想的な曲。左手も右手も常に細かく動かす連続技が続くので、どうやって弾いてるの?! て、皆さん驚かれるんじゃないでしょうか(笑)」 さまざまな場所へ演奏に赴く村治さんにとっても旅は切り離せないもの。ある時、旅で書いた一曲で村治さんは不思議な体験をします。 「五島列島の教会を訪れた時、教会の目の前に広がる海の景色がとてもきれいだったんです。そこで浮かんだメロディを曲にしたんですが、ある時ラジオでその曲を流したら、なにも説明をしていないのに、”五島の教会からの海の景色が思い浮かびました”と、リスナーの方がコメントをくださって。人間の想像力もそうですが、言葉で説明しなくても同じ情景を見せる音楽の力のすごさを感じましたね」
リビングにお招きするように
お客様をお迎えしたい
今回のリサイタルはひとりきりのステージ。村治さんは大きなリビングにお招きするようにお客様をお迎えしたい”と語ります。 「私自身もリラックスして心地よい演奏ができれば。今は何かを目指すよりも、舞台に立てるだけで感謝の気持ちでいっぱいです。ただその日の朝を元気に迎えられればと思っています。一時期、怪我や病気で休業したんですが、ギターから離れることで自分を見つめ直すいいきっかけになりました。それで肩の力が抜けたんでしょう。若い頃は力んでしまって弦をビブラートさせるのが苦手だったのですが、今では音の揺らぎを楽しみながら出せています。 人は誰もが音楽から何かを受け取る素晴らしいアンテナを持っています。それがパッと開いて、演奏している自分とお客様の気持ちを重ねることができたら、演奏者にとっては何よりの幸せです。繊細な響き、音の減衰、美しい余韻…。ギターの音色で、師走の喧騒から離れて異国の旅へ皆さんをお連れします。一本の楽器で世界が完結するギターという小宇宙を、是非体感しにきてください」
■プロフィール
ギタリスト/村治 佳織
むらじ・かおり 東京都出身。15歳でCDデビューし、フランス留学後、積極的なソロ活動を展開。オーケストラとの共演も多数重ね、2003年英国名門クラシックレーベルDECCAと日本人として初の長期専属契約を結ぶ。コンサートのほか、テレビやラジオ出演も多く、現在はJ-WAVE「RINREI CLASSY LIVING」のナビゲーターを担当する。
■インフォメーション
日本ロレックス presents
~デビュー25周年を越えて~
村治佳織 ギター・リサイタル 2019
‟旅と映画に恋して!”
■会場/サントリーホール 大ホール
■日時/12月21日㈯ 14:00開演(開場13:15)
■料金/S席5,800円、A席4,800円、B席(ステージ横)4,000円、P席(ステージ後)3,000円(税込・全席指定)
【問】東京音協(平日11:00~17:00)03-5774-3030 http://t-onkyo.co.jp/