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芸能人インタビュー
- 今の自分を超えて美しいクラシックを届けたい! いつもエールをくれる皆さんのために 2018.08.20
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昨年デビュー50周年を迎えた森山良子さん。さまざまなジャンルの新しい表現を追求しながら自分の可能性に挑み続けています。9月にはクラシックがテーマの『Ryoko Classics コンサート Ⅳ』を開催。コンサートにかける思いや誰もが知る名曲について伺いました。
〝うたえない…”『さとうきび畑』に抱き続けた葛藤!
「優しく澄んだ歌声、聴く者を圧倒する歌唱、エネルギッシュなステージ。多くの人々を惹きつけ、長年トップシンガーとして、森山良子さんは走り続けています。 さまざまな歌をうたってきましたが、中でも沖縄戦の悲しみと平和の祈りをこめた『さとうきび畑』は最初の発表から50年近く経つ今も愛される名曲です。 「さとうきび畑のお話を頂いたのは、私が20歳そこそこの頃。戦争の悲惨さを知らずに育った自分、歌に対してとても小さい自分。私にはまだ力がない、とすごく葛藤しながらうたいました」 そんな気持ちとは裏腹に発表されたさとうきび畑は好評を博します。しかし、葛藤は消えず森山さんは次第にこの歌を遠ざけるようになっていきました。 そして1969年の発表から、月日が経ち1991年湾岸戦争が勃発。ある日、森山さんは母に「あなたにはうたうべき歌があるでしょ」と言われ、「はっ」とします。さとうきび畑のことを言っているのは、すぐに分かりました。逃げていると指摘されたことも。 〝逃げずにもう一度向き合ってみよう” 「そうしたら歌が〝そんなに考えこまず、素直にうたえばいいんだよ”と言ってくれているような気がしたんです。沖縄のコンサートで地元の方にうたってくれてありがとう、と言葉を頂いた時は肩の荷が下りる思いでした。歌は人のようです。どんな時にも寄り添い必要な時に表れる。まっすぐ向き合えば、きっと私たちの世界を広げてくれる。そして、その歌を待ってくれている人たちもいる。だから恐れず挑戦したいと思っています」
豪華に、華やかに
『Ryoko Classics コンサート Ⅳ』真摯に歌と向き合い、新しい表現に挑み続ける森山さん。現在取り組むのは、クラシックがテーマのアルバム(9月発売予定)。収録するのは『オー・ソレ・ミオ』や、歌劇『椿姫』より『乾杯の歌』、さとうきび畑の作者、寺島尚彦さん作詞・作曲の『糠星の夜には』、ほかに映画やミュージカルの名曲も楽しめます。 「私には10代の頃から通う声楽の先生がいるのですが、アルバムに収録する曲を見せたら、〝まあ! 良子ちゃん、ずいぶん大胆なチャレンジね”と驚かれて(笑)。それで初めて難しい歌を選曲していたことを知ったんです」。いいかげんよね、と森山さんは笑います。 「でも、どんなに無茶でもうたいたいならやってみないと。私たちは誰もが可能性を持っていて、あとはやるかやらないかだけ。クラシックを美しくうたうには無数のテクニックが必要ですが、今の自分を超えられた時、見えてくるものがきっとあると思うんです」 9月には『Ryoko Classics コンサートⅣ』を開催。アルバムでも演奏を務める東京フィルハーモニー交響楽団との息の合った共演も見所です。 「さまざまな楽器の音が折り重なってひとつのアンサンブルの花を開かせる。その一つひとつのフレージングを聴きながら自分の歌をのせていく。オーケストラとの共演はいつもスリリングで面白い! 華やかな響きに特別な気分になれますし。今回のコンサートではアルバムの収録曲をフレッシュにお届けします。もちろんお馴染みの歌も。私が頑張れるのは、いつもエールをくれる皆様のおかげです。私の歌で日常を忘れて楽しんで頂けたら嬉しいですね」
■プロフィール
歌手/森山良子
1967年「この広い野原いっぱい」でデビュー。その後、「涙そうそう」「さとうきび畑」など数々のヒット曲を生む。2007年「2006年度 芸術選奨 文部科学大臣賞」「第49回毎日芸術賞」受賞。2008年「紫綬褒章」受章。歌手以外に女優、声優、ラジオのパーソナリティなど幅広く活躍する。
■インフォメーション
森山良子 with 東京フィルハーモニー交響楽団
Ryoko Classics コンサート Ⅳ
■会場/サントリーホール 大ホール
日時/9月20日(木)開演14:00
料金/S席8,500円、A席7,000円、B席6,000円、P席5,000円 ※税込・全席指定【問】東京音協(平日11時~17時)TEL.03-5774-3030