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芸能人インタビュー
- この先も歌を心に響かせよう あなたの歩みに、人生に僕の行く道を重ね合わせて 2018.02.19
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歌手デビューから53年、トップシンガーとして日本の音楽シーンを走り続ける布施明さん。現在ツアー中の『ROUTE70―来し方行く末―』が、3月10日、Bunkamuraオーチャードホールにて行われます。コンサートへかける思い、意気込みについてお聞きしました。
歌手・布施明の70年の歩みを描くコンサートツアー
「成長したくて毎回ツアーでは新しいことに挑戦しています。今回はタップダンス。昨年の暑い時期、必死で特訓しました。うまくはないんだけどね(笑)」
そう穏やかな笑みを浮かべて語るのは、布施明さん。深い情感と豊かな声量。聴く者の心を震わせる歌唱は圧倒的存在感を放ちます。
「『ROUTE70』というタイトルは昨年末に70歳を迎えたことにちなんだもの。節目に僕のこれまでとこれからをストーリーとして描きたかったんです。今回のコンサートでは、タップダンスから始めて冒頭に物語性の強い曲を並べました。いっきに歌の世界に入り込んでもらえると思います。その中の『ミスターボージャングル』は外国の旅芸人をうたったもので哀愁を誘いますが、とても共感できる胸を打つ歌です。懸命に芸に生きる姿をパントマイムとともに表現します」
布施さんのコンサートでは『シクラメンのかほり』『君は薔薇より美しい』など、時代を超えて愛される代表曲とともに洋楽に日本語詞をつけた洋楽ポップスも多くうたわれます。そこにはひとつの思いがありました。
「僕の先輩であるザ・ピーナッツさんや越路吹雪さんは、洋楽ポップスに新たな息吹を吹き込み表現しました。この音楽には当時の日本人が抱いた憧れやロマンがつまっている。今はあまりうたわれませんが、現代にも通じるロマンを表現できると思って、僕は新しい曲に自分で詞をつけてきました。楽しくやりがいもあるのですが、自分の想いが強くなりすぎて聴く人の心と離れないように、またこの世界の可能性を広げるために、今回は新しい試みとして作詞家にお願いをしたんです。こんな景色にしたいと短編小説を添えたり、希望を詳細に伝えて。今、CD制作中なので早く皆さんにお聴かせしたいですね」〝這いつくばってでも前に進みたい” 飽くなき歌への想い
一曲一曲魂のこもるパフォーマンスで会場を感動で包みこむ布施さんのコンサート。歌づくりから構成、台本まで自ら手がけます。「こんな大変なことはない」と笑いますが、それでも続ける理由を〝悔しいから”と答えました。
「思っているものにいきつかない悔しさ。もう少しで理想に届きそうになると、立ち止まるのが悔しいんだよね。いつだったか90歳を過ぎたある人間国宝の陶芸家がおっしゃっていたんです。〝今やっと良いものが作れるような気になった”と。僕も同じで、一生満足することはないでしょう。年で体が衰えても前へ進む。走れなければ歩く、歩けなければ這いつくばってでも」
語る言葉にこもる、布施さんの飽くなき歌への情熱、深い愛。
「僕は歌で景色を描きたいんです。余白を大切にしながら、心の機微に触れる歌の世界を目指したい。そしてそれが、皆さんの思い出に寄り添う安らぎのひと時になれば。
ステージで何より大切なのはお客様の想いのためにうたうこと。自分の想いを伝えるためではありません。チケットを買い、当日の服を選び、会場に足を運び、貴重な時間をくれた皆さんを思って自分の全てをかけて臨みます。そしてお見せします、僕が生涯をかけ進む道とその先を。その時、心が同じ方を向いていれば歌はきっと響くはず。僕の行く道が皆さんの歩みと重なり合い、この先も共にできたら嬉しい。素晴らしい時間をお届けします。どうぞご期待ください!」■プロフィール
歌手/布施 明
1947年東京都生まれ。1965年「君と涙とほほえみを」で歌手デビュー。「霧の摩周湖」「愛は不死鳥」などヒット曲を出し、1975年「シクラメンのかほり」では、第17回日本レコード大賞・第6回日本歌謡大賞などを受賞。映画やドラマにも出演し俳優としても活躍している。
■インフォメーション
AKIRA FUSE LIVE 2017-2018 ROUTE 70
―来し方行く末―
会場/Bunkamura オーチャードホール
日時/3月10日(土) 開場16:00 開演16:30
料金/S席6,800円、A席5,400円(税込・全席指定)
【問】東京音協03-5774-3030