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芸能人インタビュー
- 自分の表現を、本当の想いを、苦しくても自らに問い続ける。歌創りは僕の〝志〟だから 2017.04.17
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シンガーソングライター・小椋佳さん。作詞・作曲家、歌手として活動46年目を迎え、現在まで楽曲提供をした歌手は300人にも上ります。5月には「小椋佳 トリビュート・コンサート」を開催。楽曲提供を受けた豪華歌手が小椋さんへのリスペクトをこめて歌を披露します。
〝歌への冒涜は許せない!”愛情と怒りから始めた歌創り
「思えば随分長い間続けさせていただいています。時折ですけど、昔創った歌を聴くと当時のことを思い出して、懐かしくなりますね」 タバコの煙をくゆらせながら穏やかに語る小椋佳さん。1971年、初アルバム「青春~砂漠の少年~」を発表。すでに銀行に勤めていたこともあり、当初は表に出ずに活動を続けました。 『愛燦燦』、『俺たちの旅』、『夢芝居』と数々の名曲を生み出し、今までに発表した楽曲は2000曲以上。どの楽曲もうたいたい歌を好きに創ってきた、と小椋さんは語ります。 「売れるもの、流行るものという観点で歌創りはしていません。幸運なことに世に出ることになりましたが、プロになるつもりは一切なかったので」 歌が大好きで夢中になった少年時代。しかし、小椋さんは次第にラジオやテレビから聴こえてくる歌に白々しさを感じるようになります。大衆に受ければいいのか、歌はこんなものではない、歌を冒涜するのは許せない! 愛情と怒り。〝心に響く歌がないなら、自分で創る”。小椋さんのアーテイストとしての人生が動き出します。以降、常に厳しい姿勢で臨んできました。 「詩や曲が創造的か、その言葉は本当に自分の言葉か、自分へ問い続ける。とても苦しい作業です。しかし、完成した時に大きな喜びがある。だから続けられるんでしょう」 〝志”のようなもの。 真っ直ぐこちらを向き、小椋さんは自分の創作をそう表現しました。そんな小椋さんの誠実な想いは、人々の心を強く掴み、時代を超えて歌い継がれているのです。
錚々たる歌手が小椋佳を〝偲ぶ”? 豪華ステージを開催!
小椋さんは73歳になった今も定期的に各地でコンサートを行っています。5月には『小椋佳 トリビュート・コンサート ~命はいつも生きようとしてる~』を開催。出演は小椋さんをはじめ、楽曲提供を受けた五木ひろしさん、梅沢富美男さん、研ナオコさん、中村雅俊さん、堀内孝雄さんなど豪華な顔ぶれが揃います。
「今回は〝偲ぶ会”のようなコンサートだということですが、生きている者を偲ぶというのも妙な感じですね。でも、僕はすでに葬式を終えているので、そういう意味では故人かもしれません」
2014年、古希を迎えた小椋さんは生前葬コンサートを行い、歌手としての人生に一区切りをつけました。
「区切りをつけたとは言え、僕にとって歌は生活の一部なので、辞めることは考えていません。最近は妻がどこでも同行して身の回りのことをしてくれるんです。本当にありがたいと思います。彼女は同じ年だけど、僕より長生きすると信じていて、僕にだけ生命保険をかけている(笑)。僕もそれでいいと思っています」
70歳を過ぎて実感する気力や体力の衰え。しかし、無理に若ぶることはせず、小椋さんは今の自分を受け入れます。
「最近は一曲創るのも時間がかかってとても辛いんです。いずれ創作するエネルギーもなくなるのでしょう。まあ、それが老いというものですから。老いや死は必ず訪れるのだし、悩んでもしょうがない。大切なのは考えること。死を迎える時、どうありたいか最後まで考えるんです」
人生が続く限り精一杯生きる。命の喜びも哀しみも全て受け入れ、今、小椋さんは歌と共に人生を歩み出しています。■プロフィール
シンガーソングライター/小椋佳
1944年 東京都出身。東京大学法学部卒業後、日本勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。1971年、初アルバム発表。「シクラメンのかほり」をはじめ、多くのヒット曲を出す。2014年、生前葬コンサートを開催し話題に。今年4月からはラジオ番組のパーソナリティを務める。(「小椋佳~闌の季節」文化放送・毎週日曜20:00~20:30)。
■インフォメーション
小椋 佳
トリビュート・コンサート2017
~命はいつも生きようとしてる~出演/小椋佳、五木ひろし、梅沢富美男、研ナオコ、中村雅俊、堀内孝雄 他
会場/NHKホール 日程/5月17日(水)18:00開演、18日(木)15:00開演
料金/S席10,000円、A席8,000円(税込・全席指定)
【問】東京音協☎03-5774-3030