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芸能人インタビュー
- 芝居は私を高みへと連れていってくれる。生きている実感を強く感じるんです 2013.04.16
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底知れぬパワーで観る者の五感を揺さぶり、圧倒する―日本が誇る女優・大竹しのぶさん。彼女にとって芝居とは何なのか。そして、「どうしても出たかった」と語る沖縄の離島を舞台にした新作映画『旅立ちの島唄~十五の春~』(5月18日公開)について話を伺った。
■芝居をすればするほど、全身からパワーが漲ってくる
舞台やスクリーンで燦然と輝く女優・大竹しのぶさん。演じているときとは別人のように、おっとりとした口調で「もうちょっと時間が欲しいなぁ…いろんな国を旅行したい」。
芝居スイッチが入っていないときは、エネルギーを温存しているかのようだ。
「パワースポットで知られるセドナの聖地に、(中村)勘三郎さんと奥様と一緒に訪れたことがあるんです。ガイドの方が『あなた達を高い境地へ導きます』とセラピーを行おうとしたのだけれど、奥様が、『あなた達二人は導いてもらわなくても、自力でそこに行けるじゃない』と仰って。確かにそうだねって笑っちゃいました。お芝居を通して私は高みへと昇っていける。体の奥からどんどんエネルギーが沸いてくるんです」
8時間もある『ヘンリー六世』の上演中、大竹さんだけが時間を追うほどに元気になり、共演者を驚愕させた。
「自分ではない人生を何度も生き、苦しみも哀しみも喜びも、人の何倍も体験できる。芝居そのものが、ただただ好きなんです」
5月からはブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師~』が上演される。18世紀末のロンドンを舞台に繰り広げられる、狂気に満ちた復讐劇。名ミュージカル俳優・市村正親さんとの競演も見逃せない。
■南大東島で生きる人々の、心の美しさに触れてほしい
4月には映画『旅立ちの島唄~十五の春~』の公開も控える。
―沖縄の離島・南大東島。さとうきび畑を営む父と二人で暮らす14歳の優奈。母は、兄や姉が進学するときに那覇へ渡ったまま、なぜか戻ってこない。家族はすでに壊れかけていた。島には高校がなく、優奈は中学卒業と同時に那覇へ行く。島での時間は残りわずかだった…。
15歳の春を迎えるまでの父と娘、母と娘の一年間を丁寧に描く、実話を基に練り上げたオリジナルストーリー。
「吉田監督とは前作の『キトキト!』でご一緒しました。次回もぜひというお話をしていたので、六年ごしに約束が叶ってとても嬉しい」
本作では南大東島を離れ、那覇で暮らす母親の明美を演じた。
「南大東島では、母親は子どもの高校進学に合わせて島を出るか、別居するしか選択肢がないんです。明美の場合は複雑な事情があるんですけど…。宿泊先にちょうど14歳のお嬢さんたちがいて、『卒業したらどうするの?』と聞いたら、『島を出て自立する』と。漠然とした夢ではなく、自分の手で確実に未来を掴もうと、覚悟を決めて生きている。なんて偉いんだろうと驚きました」
大竹さんの長女であるIMALUさんも、中学卒業後にカナダへ留学。撮影中にそのときの心境を思い出すことも多かったそう。そのためか、娘役の三吉彩花さんとのシーンはひときわ胸に迫る。
「この映画では、島での厳しい暮らしや、思い通りにいかない現実がリアルに描かれています。皆が皆幸せなわけじゃない。それでも、一人ひとりが自分の足で歩んでいこうとする強さ。大人になるには早すぎる15歳の春に、子どもたちが未来に向かって旅立つ美しさ。島で生きる人たちの凛とした心の美しさを、ぜひ皆さんにも感じて頂きたいです」
■プロフィール
女優/大竹しのぶ
おおたけ・しのぶ 1957年東京都出身。75年「青春の門~筑豊編」のヒロイン役でデビュー。以後、日本を代表する女優として幅広く活躍。5月16日~青山劇場にてブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師~」が公演。【問合せ】ホリプロチケットセンターTEL.03-3490-4949
■インフォメーション
『旅立ちの島唄 ~十五の春~』
■監督/吉田康弘 ■出演/三吉彩花、 大竹しのぶ、小林薫 他 5月18日、シネスイッチ銀座他にて全国順次ロードショー