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芸能人インタビュー
- 女に居場所が用意されていなかった笑いの世界。けれど仲間がいたから前に進めた 2013.03.18
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テレビでみせる豪快な笑い声ともらい泣き。柴田理恵さんの飾らない人柄は画面を通して伝わってくる。お茶の間を楽しませる柴田さんが、テレビと違う顔を見せるのがワハハ本舗の舞台。4月から始まる最後の全体公演全国ツアーを前にし、看板女優が笑いへの思いと意気込みを語った。
■厳しかった母の教え 信念を貫いたから、現在の自分がある
「今の仕事をしていなかったら?教師になって今の教育制度に文句いってるかもしれませんね」。人情家だが筋が通らないことにははっきりノーと言う柴田さんが、最も影響を受けたのは今年84才になる母・須美子さんだった。
「子どもの頃、お雛様が欲しいとねだると『必要ない』、レースの洋服を着たいとせがむと『汚れるだけだからやめなさい』、みんなが持っていると言うと『みんなが死んだら、おまえも死ぬのか?』という言葉が返ってきました。後になって思えば、信念を持つ大切さを教えてくれました」
厳しい母に育てられた柴田さんの心を奪ったのが演劇だった。地元富山で早稲田小劇場の舞台に衝撃を受け、上京して大学の演劇部へ進み、在学中に東京ヴォードヴィルショーへ入団。25歳で自分が目指す道を笑いと心に決め、ワハハ本舗を仲間と立ち上げた。後戻りできない決断だったが、母の教えに従うように自分の信念を貫いた。
「悩みましたが、やっぱりお笑いがやりたくて、とにかく舞台で爆笑がとりたかった。翌年に女囚漫才が受け、雑誌のナンバーワンのコメディエンヌに選ばれ、涙を流して喜びました。今でこそ女性の漫才師や芸人が多く活躍していますが、当時、笑いの世界では女性は添え物という扱いでした。女の私たちには居場所がありませんでした。けれど、久本(雅美)らの仲間がいたから進めたんだと思います。ワハハ本舗は今も昔も私の大切な家族です」
ワハハ本舗は自分たちが面白いと思うことを突き詰め、ときに体を張り、斬新な演出で客席を盛り上げていく。柴田さんは28歳のときに舞台監督だった旦那さんと舞台で公開結婚式を挙げた。「800人のお客さんに祝ってもらいました。でも1年間、籍を入れるのを忘れてたんですよ(笑)」。誰も思いつかないアイデアは、あらゆる年代の人々を笑いの渦に巻き込む。
「年配の方が笑わない? そんなことありません。たとえば70歳くらいの旦那さんが奥様に連れられ会場に来られます。最初は仕方なく来たという表情ですが、私がおむつを履いてバーって日本酒を入れて悶えていると表情も緩みます。最後には笑顔でブラジャーをかぶってらっしゃいます。私たちも本当にうれしい瞬間です。
ワハハ本舗の舞台は花火大会のようなもの。花火をみれば、どんな方でも夜空を見上げてワ~ってなりますよね。それと同じ。ワハハと思い切り笑って、悩みなんか忘れましょう」
笑いで人の悩みを吹き飛ばすワハハ本舗だが、ある切実な問題に直面しているという。
「劇団員の高齢化。楽屋では体が痛いとか、10年前は老眼でしたが今はもっぱら白内障の話し。それで5年前に体が動く内にやりたいことやろうと話し合ってきました」
今年の全体公演を最後と位置づけ、『ラスト』をテーマに団員が全力で大花火を打ち上げる。
「オール新作。私もこれぞラストっていう作品を考え、張り切って稽古しています。バカバカしくて華やかで、ちょっと下品かもしれないけど最後には感動できる・・そんな私たちとお客さんが心から楽しめる舞台をお見せしたい。これで全体公演は最後ですが、個々で公演を続けていくので、これからもワハハ本舗をお願いします。ときどき閉店セールの看板だけ立てて、ずっと営業している店もありますけど…、ウチはそんなことはしませんよ(笑)」
■プロフィール
タレント・女優/柴田理恵
しばた・りえ 1959年富山県出身。東京ヴォ-ドヴィルショーを経て、84年にWAHAHA本舗の結成に携わる。今年設立30年を迎え、看板女優として舞台に上がるだけでなく、「はなまるマーケット」などのバラエティ番組に出演するほか、ドラマや映画など幅広いメディアで活躍する。
■インフォメーション
ワハハ本舗最後の全体公演「ラスト」
4月6日(土)~14日(日)
構成・演出/喰始
出演/柴田理恵、久本雅美、梅垣義明、正司歌江ほか
会場/赤坂ACTシアター
料金/前売券S席8,800円、A席7,800円、B席6,800円
(当日券S席9,600円、A席8,600円、B席7,600円)
【問】 0570-00-3337(サンライズプロモーション東京)
7月4日に神奈川県・グリーンホール相模大野大ホールで実施(詳細TEL確認)