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芸能人インタビュー

三田佳子/表現とは、命を削って花を咲かせること。何度でも芽吹く、強く美しい花でありたい。 2009.08.18
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東映の看板女優を経て、映画・舞台・テレビと、現在も第一線で活躍し続ける女優・三田佳子さん。ぞくりとするほどの美貌と、映画『Wの悲劇』によって世に知らしめることとなった、その確かな演技力…。そこには、ひとつの道を極めんとする求道者の姿がありました。

 

 

『表現』とは崇高な行為…苦痛を歓びに昇華させてこそプロ


 
「この仕事を始めて、えっちらおっちら、亀のように歩いていたら、いつの間にか50年も経っていました」


何気ない仕草や視線、ほんの一瞬の微笑みに、ぞくりとさせられる…。女優・三田佳子さん。スクリーンの中で妖しく輝く彼女の姿は、観る者の心に焼き付き、決して消えることはありません。そんな三田さんは、上品な声で、ひとつひとつ丁寧に、言葉を紡ぎます。


「自分という肉体を使って、人生を『描く』。それが私の仕事です。小説家はペンで、画家は絵筆で表現する。どんな仕事の方も、『表現すること』によって、自分の世界を創り上げていくんですよ。映画や舞台の場合は、美術や照明、カメラ、役者…それぞれの分野のプロたちが力を振り絞り、ひとつの作品世界を創り上げていく。そして最後に、観てくださるお客様がいて、それは初めて完成するのです。


遊びでない限り、つらさや苦しみがあって当たり前なんです。でも、それを表に出さないこと。そして、その苦しみすらも超越して楽しむこと。それがプロではないでしょうか。生活のためだけにやっていると、お客様に見透かされます。誰より自分自身が、崇高なものとして作品に取り組まないと…」


いつも、命を削ってやっているんですよ。三田さんは微笑みながら、しかし強い眼差しで言います。


「ずいぶん立派なことを言いますが、私は『あーもうダメだ』『これ以上できない』…ってすぐ弱気になるんです(笑)。でも、負けちゃいられない、お客様がいる限り。そうして自分を奮い立たせています。ひとつの仕事が終わる頃には、燃え尽きているのですが…不思議ですね。命を削り、心が枯渇し、からっぽになったと思っていても、そこからまた命が芽吹く。蕾をつくり、もう一度花を咲かせることができるんです。何度も咲く花は、どんどん綺麗になっていくの。たくさんは咲かなくとも、咲くたびに濃く、力強く、美しくなっていく…。私もそういう花でありたいし、そうでなければいけないと思っています」


柔らかい物腰からは想像もつかないほど、ストイックで、自分に厳しい姿勢が伺えます。


三田さんにとって、『演ずる』とはいったい、どういう意味を持つものなのでしょうか。
「救い…、なのかもしれません。現実から別の人生に跳躍する。そしてまた、自分の人生に還ってくる。その繰り返しだから、50年も続けてこられたのかもしれませんね」
 

 

最強のキャストが集結した舞台『印獣』! 女優・三田佳子の新境地


 
三田さんにとって、何より大切なのは『今』。つねに現在だけを見つめ、未来のことは考えないと言います。


「私はもう、70歳間近。いつ何が起きても、おかしくありません。だからこそ、『今、何をやるか』というのは、私にとって本当に切実な問題。私は以前、生死の境をさまようような大病をしたことがあります。それでも今、こうして生きているのは、まだやるべきことが残されているからではないかと思うんです。もしそれが、『女優という表現者で在り続けること』だとすれば…。私にとってこれ以上の歓びはありません」


三田さんは今、女優としてのターニングポイントを迎えつつあります。独特な世界観を繰り広げる人気脚本家・宮藤官九郎さんが書き下ろし、演劇界のチームリーダー『ねずみの三銃士』こと生瀬勝久さん・池田成志さん・古田新太さんが競演する舞台『印獣』に、主演ゲストとして参戦することになりました。


「宮藤さんに、演出の河原雅彦さん、ねずみの三銃士、そして三田佳子。この組み合わせだけでも、ドラマティックでしょう?」


舞台は郊外の別荘。自称『大女優』という謎の女主人によって、地下に閉じ込められてしまった三人の男たち。ジャンルは違えども文筆業を営む彼らに、謎の女主人は、彼女の自叙伝を書くように命じる…。


以前から『クドカン(宮藤官九郎)ワールド』には多大なる興味を持っていたという三田さん。「今回のように、真っ向からご一緒するのは初めて」と、目をきらきらと輝かせます。


「宮藤さんも共演者の皆さんも、若く、才能に満ち溢れています。私にとって、まさに『今輝いている人』。そんな方々が私に声をかけてくださったのが、本当に嬉しくって。キャリアで厚ぼったくなっている私が、もう一度、脱皮できるかもしれない。ここを乗り越えれば、私は女優としてさらなる高みへと飛び立つことができるのかもしれません。


今回は、お祭りのようなものですね。皆さんが私をお神輿に乗せて、担いでくださっている。さまざまなことを教えていただいて、学んで、帰ってきたら、また若い方たちと一緒に、新しいお祭りをやりたい。そして、自分が関わった作品が、少しでも皆さんのパワーになれば、こんなに嬉しいことはありません」


舞台『印獣』は10月〜11月、パルコ劇場にて上演予定! 女優・三田佳子の新たなる挑戦を、ぜひご覧ください。

 

プロフィール

女優/三田 佳子
みた・よしこ 1941年大阪生。『殺れてたまるか』(60年)でスクリーンデビュー以来、東映専属として60本以上の作品に出演。67年にフリーとなる。『Wの悲劇』(84年)でキネマ旬報助演女優賞、『遠き落日』(92年)で日本アカデミー賞主演女優賞など、受賞歴多数。日本を代表する女優のひとり。


 
舞台『印獣』


作/宮藤官九郎 演出/河原雅彦 出演/三田佳子、生瀬勝久、池田成志、古田新太、岡田義徳、上地春奈 
期間/10月13日(火)〜11月8日(日)予定 
会場/パルコ劇場 前売開始/9月5日 
※地方公演もあります。詳しくはお問合せください。
【問】パルコ劇場 TEL:03-3477-5858

 

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