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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第13回】離婚ストレスは健康の大敵 2015.07.13
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近年、熟年離婚という言葉をよく耳にします。離婚自体がめずらしいことではなくなりましたが、婚姻と健康に関して気になるデータがあるので紹介しましょう。それは「結婚は心機能を安定させ、離婚によって血管障害が増える」というものです。経験者が話すように、離婚には膨大なエネルギーが必要です。心身には多大なストレスがかかり、またパートナーがいなくなることで生活のリズムが乱れます。これらが心と体への負担となり、冠動脈疾患や脳血管障害、高血圧などを引き起こしやすくなると考えられます。
こうしたパートナーとの関係性を含め、人付き合いは実に厄介です。相手の身勝手な言動に振り回されたり、性格の違う人とも顔を合わさなければいけないなど、思うようにいかないことの連続。こういった場面に直面したとき、平然と相手の意見を突きはねる人もいれば、首を傾げながら賛同する人もいます。あなたはどちらでしょうか?
実は人付き合いには「我慢するタイプ」と「我慢できないタイプ」の2つがあります。ただ、私は人付き合いに悩む人にタイプを変えようと勧めている訳ではありません。なぜなら幼い頃からの積み重ねで人格形成されているため、無理に性格を変えるのは健康に良くありません。また、相談を受けて「嫌なら嫌とはっきり言えばいいじゃない」と助言する人がいますが、我慢するタイプには到底無理なことです。「他人(ひと)は他人(ひと)、自分は自分」でしかないことを心に留めておいてほしいのです。
むしろ私は人付き合いは刺激があるからこそ良いと考えています。腸内細菌と実によく似ています。悪玉菌がいるから善玉菌がいて、そのふたつが刺激し合うから腸内バランスを保つことができます。社会や家庭も我慢する人、我慢しない人が共存しているから上手く回るのです。自分とは違う考えを持つ他人やパートナーから多くのことを教わり、尊敬し合って良い関係を築くことができるのです。
確かに夫婦の場合、離婚でしか解決できない問題もあるかもしれません。しかし、離婚に伴う健康リスクがあることを頭の片隅に入れておいてください。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。