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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第12回】「香り」で自律神経を整えよう 2015.07.13
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いよいよ夏本番。初夏は体が暑さに慣れていないため、熱中症のリスクが高まります。とはいえ、クーラーの効いた部屋で過ごしてばかりいると、室内外の温度差で自律神経のバランスが乱れ、体調を崩してしまいます。今回は、夏場の体調と自律神経を整えるのに役立つ「香り」について説明しましょう。
私たちが持つ五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)は、無意識のうちに自律神経に大きな影響を与えています。ウォーキングでも街中よりも公園などで緑が鮮やかな木を見たり、風に揺らぐ葉の音に耳を澄ませながら歩いた方が、高いリラックス効果が見込めます。
嗅覚に関しても同じことが言えます。心地よい香りをかぐことで、誰でも気持ちが安らぎます。それは脳内からアルファ波が出て、心身をリラックスさせているためです。
香りの種類はとくに関係なく、自分のお気に入りであれば効果が期待できます。ただ、冷え性の人には柑橘系がお勧めです。全身の血流を上げる効果が認められているからです。
リラックス作用のほかに注目したいのが、香りが持つ「記憶を呼び起こす効果」です。皆さんは何かの香りをかぎ、急に懐かしさを覚えたり、昔のことを思い出したことはありませんか。たとえば、秋口に金木犀の香りをかぎ、子どもの頃に金木犀が咲く畦道を歩いたことをふと思い出したなど…。香りにはこうした興味深い効果もあるのです。また、過去を思い起こすことによって自律神経が安定し、心身がリラックスできます。
最近ではルームディフューザーやキャンドルなどアロマ関連の商品が数多く販売されていますし、フレグランスであれば持ち歩くことができます。ストレスや疲れがたまったときは、こうした商品を上手に活用しながら心身を落ち着かせましょう。
また、夏にも潮風や瑞々しいスイカ、花火の煙など、色々なにおいがあります。夏の香りに誘われ、ふと昔のことを思い出してみる─懐かしい記憶が夏の暑さをひととき忘れさせてくれるかもしれませんね。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。