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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第8回】健康に暮らすための「夕食の心得」 2015.07.13
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前号では便秘解消には、三食きちんと摂ること、なかでも朝食を欠かさないことが重要だと説明しました。今回は健康的な生活を送るための「夕食の心得」をお教えします。
初めに夕食の時間ですが、「8時までに食べ終えること」が理想です。腸には“ゴールデンタイム”という時間帯があります。夜10時から深夜2時の4時間を指しますが、この間は腸が活発に働き、食べた物を消化してくれます。そのため、ゴールデンタイムを迎える2時間前の8時頃までに夕食を済ませることが大切なのです。
「夕食の献立」にも気を配りましょう。都道府県別の平均寿命の最新調査では、長野県が男女(男性80・88歳、女性87・18歳)ともに全国1位となりました。長野県は発酵食品である味噌や漬物の消費量が非常に高い土地柄です。発酵食品に含まれる乳酸菌が腸内環境を整え、長寿につながったのではないかと考えています。
基本的に発酵食品を食べる時間帯は、いつでも構いません。ただ、ゴールデンタイム時の腸は良好な状態なので乳酸菌が定着しやすいと思います。粕漬けや漬物をおかずにしたり、ヨーグルトをデザートに食べるなど、夕食に発酵食品を取り入れるのも良いでしょう。
食事は「しっかり噛むこと」が大切です。夕食に限りませんがあまり噛まずに飲み込むと、食べ物の固まりを消化しようと胃腸に多くの血流が送られます。すると胃腸に大きなストレスがかかるだけでなく、脳などへ十分な血流が行かずに酸素や栄養が供給できなくなります。また、噛むことは脳を刺激し、気持ちを落ち着かせる効果もあります。
最後は「夕食から就寝までの時間」です。食事中は交感神経が上がり、心身が興奮しています。そのため食後すぐ寝ると、寝つきが悪いばかりか疲れも抜けません。食べた物が消化できていないので、脂肪もつきやすくなります。しかし、食後に胃腸が消化を始めると副交感神経が優位になります。栄養もきちんと吸収できますし、リラックスしてぐっすり眠れます。毎晩8時までに食べられない人は、就寝3時間前までに夕食を済ませ、食べた物をきちんと消化してから眠りにつきましょう。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。