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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第7回】中高年世代の便秘対策 2015.07.13
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寒い毎日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。今回は私の専門分野であり、中高年層に増えている「便秘」についてお話ししましょう。
便秘とは排便を促す「胃腸のぜん動運動」という機能が低下し、うまく便を排泄できない状態です。この運動をコントロールしているのが自律神経です。実際、便秘外来に訪れる患者さんを調べると自律神経のバランスが乱れています。便秘と自律神経は切り離せない関係にあるのです。
高齢者の便秘は、加齢によって副交感神経の働きが低下し、ぜん動運動が鈍るなど「腸内環境の悪化」が主な原因です。他にも糖尿病やパーキンソン病の「合併症」として便秘になるケースがあります。また、50代までは女性、60代以降は男性がなりやすいです。
便秘対策で心がけてもらいたいのが「ぜん動運動を活発化させること」と「自律神経のバランスを整えること」です。そのためには、きちんと三食を摂るようにすることです。便秘を気にするあまり食欲が落ちる人もいますが、食べないと腸は刺激されず活発に働きません。食欲がない時は飲み物やフルーツでも構いませんので、必ず何かを口にしましょう。
三食のなかで最も重要なのは「朝食」です。朝は交感神経優位に切り替わる時間帯。朝食を摂ることで眠っている腸を目覚めさせ、交感神経の働きが高まり自律神経のバランスを整えられるからです。
もうひとつ朝に実践してほしいのが「コップ一杯の水を飲むこと」。就寝時に汗をかいて失った水分を補給するだけでなく、胃結腸反射を誘うことができます。胃結腸反射とはぜん動運動を促す反応です。朝一番に水を飲むだけで便意を感じる人もいます。
便秘外来の医師として20年以上に渡って患者さんを診てきましたが、なかには初診直後に治ってしまう人もいました。それは便秘外来を受診したことで安心感が生まれ、副交感神経の働きが高まって改善したと考えられます。実際、心配性の人が便秘になりやすいという傾向もあります。神経質や繊細な人ほど交感神経が活発で副交感神経は低下しているので、腸の働きが悪いのです。たとえ三日出なくても問題ありません。気楽にしていることも便秘解消には大切なのです。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。