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暮らしの中の仏事
- 第7回 ありし日の面影を残す 2007.07.31
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家族を亡くした悲しみは本当に深いものですが、遺族は、通常は数日の忌引き休暇後、すぐに社会生活に戻っていきます。「いつまでも悲しんでいないで元気をだして」と励まされることも多く、遺族は悲しいという気持ちを表現することは難しいでしょう。
しかし実際には、遺族の悲嘆は4~5年くらい続くことがあるとも言われ、最近では、その大きな悲しみをどう受け入れ乗りこえていくか、周囲はそれをどうサポートするかが考えられるようになってきました。
最近では、家族や親族、親しい方だけで行う「家族葬」が増えています。必要以上に盛大な葬儀や形式的な葬儀ではなく、自分や家族の考えに合う規模や形式で葬儀を行いたいと考える方が増えているためです。自分たちで納得できる別れをしたいという気持ちは、家族を失った深い悲しみと向き合い、それを受け入れていくことにつながっていくように思われます。
また、最近では病院で亡くなる方が圧倒的に多く、病院から戻って葬儀が終わるまでのわずか数日が、故人の顔を見る最後の時間になります。この最後の故人の顔は、その後ずっと遺族や会葬者の記憶に残るものとなるため、実は遺族にとって非常に重要なものです。長い闘病生活でやつれた顔は、いっそう遺族の悲しみを増すことになります。それが生前と大きく違っている場合には、最後の対面をできない遺族もいます。
そこで最近では、故人の顔を生前の元気な頃の顔、眠っているような安らかな顔に近づけるサービスもできました。メモリアルアートの大野屋では、ありし日の面影を残す顔に復元するとともに、遺体を消毒、殺菌する新しい遺体衛生保全サービスも行っています。これにより遺体の硬直も少なく、衛生的に遺体を管理することができるようになり、大量のドライアイスを遺体に載せることがなくなりました。遺族が、お別れに故人の手を握ったり、着替えをさせたりすることもできます。安らかな故人の顔を記憶し、お別れの時間を過ごしたことは、深い悲しみを乗りこえるための助け(グリーフケア)となります。
協力/メモリアルアートの大野屋